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風…第27話「群狼の町」

  • 2011-08-31 : 風の新十郎 : 編集✍
  •  第27話…群狼の町(オリジナルカラー※モノクロ映像)
     

    ▼スライドショー
                                     

    栗ちゃまの渡世人姿の変装は,今までもチョコチョコと,話のスジとは関係なく使われていたことがあったけれど,なんだかイマイチ似合ってないかなあ…なんて気もしたりして…(^.^)。でも,今回の話では、
    渡世人ルックス+片目に無理矢理の黒い眼帯」という滅多に見られない,
    (段平オヤジ風の)珍しい変装なので,1,2枚だけ画像出してみました。
    片目でも瞳の綺麗さや鼻筋なんかがより際立っていて,ずっと見てると
    「そんなに見つめちゃ
    イヤンッ!」の世界にズブズブでチュウ
     
    (アラスジ)
     
    ※新十郎のナレーション
    この橋の向こう側に埋立地がある。
    その湿地帯の草むらが海に接するところに,
    いつの頃からか,浮世をはみ出した落後者や前科者が集まって,
    「獄門島(ゴクモンジマ)」と呼ばれる町を作った。
    名のとおり,そこは人間の貧しさと欲望と罪が渦巻き,
    悪が一切を支配する,救いのない地獄の島だ。
    奉行所の力さえ,この島には及ばない。
    ひと月ほど前,八丁堀の同心・相川左近は,
    お尋ね者の行方を追って,この島へ潜入した。
     
    (行商に変装した左近は,みすぼらしい島の者に「役者ノ政」という男を尋ね歩くが,返答もないまま悉く無視される。)


    この島には,ふた種類の人間が住んでいる。
    貧しさと無気力から,この島を抜けきれず,
    不潔と退廃に日を送る住民達と,
    彼らを煽り,堕落させて甘い汁を吸う,一群の悪の組織の男達…。
     (ナレーション了)
     
    左近の前に,悪の組織の男がひとり現れる。
    やがてそこへ来た,ならず者達の中に,「役者ノ政」もいた。
    政は,左近の顔を知っており,一目見るなり,役人だと指摘する。
    ならず者達に取り囲まれた左近は,脇腹を政に刺されて川へ落ちた。
    新十郎は凶状持ちの渡世人姿に身を変えて,悪の巣窟へ向かう。
     
    (流れ)
     
    夜分,町へ入った新十郎は,
    通りで酔っ払いの男・乞食上人(コジキショウニン)」に,
    酒を恵んでくれと絡まれる。
    新参者を装った新十郎は,
    その島の親方は誰で,何処にいるのかと居場所を尋ねる。
    酔っ払って臭い息を吐きかける乞食上人は,
    「碇亭(イカリテー)」という店を教える。
     
    「碇亭」は酔っ払い客の男女が戯れ,ごった返していた。
    店の奥には,ひとり胡弓を演奏しながら歌っている
    若い娘・芳蘭(ホウラン)がいた。 
    その喧騒を割くように,島抜けしようとした男が,
    「役者ノ政」のいる悪党一味に捕まり,
    店に連れて来られて袋叩きにされる。
     
    芳蘭の前に現れた店の女将・お駒は,
    店の裏に「千太郎が来ている」と伝える。
    医者の助手をしている千太郎は,手術に必要な麻薬(アヘン)を,
    麻酔用に使いたいと,芳蘭に話す。
    了解した芳蘭は,親方に頼んでみるという。
     
    碇亭の親方は,芳蘭に麻薬を渡すと同時に,
    手をつけようと下心を見せる。
    が,そこへ来たお駒から,
    芳蘭は「頭領」が先に目をつけているため
    手出しはできないと忠告される。
    お駒は,店で働いていたおりゅうが町を出て行くため,
    少しばかり餞別を渡そうと思い,親方に金を出すよう頼みに来た。
    その話を部屋の外で聞く,政の姿があった。
     
    部屋から出てきたお駒は,途端に息苦しそうに喘ぎ,自室へ倒れ込む。
    震える手で煙管を吸うお駒は,アヘン中毒だった。
    少し楽になったお駒のもとへ,店を出て行くおりゅうが挨拶に来る。
    お駒は,かつて,自分も脱出を試みたが失敗したことを思い出し,
    命懸けで一緒に逃げようとした男がいたと,おりゅうに話す。
    その男は,橋を渡る途中で殺されてしまったとのこと。
    お駒が夢中になった男は,
    「背が高く,キリッとした顔の良い男」で,
    喧嘩でやられた片目に,いつも黒い眼帯をしていたという。
     
    やがて,新十郎が碇亭の酒場へ入ると,
    奥から出て来たお駒は,昔の男の面影に似た(多分)
    新十郎に,思わず目を見張る。
    傍にきたお駒に「片目のシンザ」と名乗った新十郎は,
    町の親方に世話になりたいと話すが,
    お駒は,悪党一味の仲間に入れば二度と抜けられないため,
    やめたほうがいいと忠告する。
    しかし,そこへ来た男に親分のもとへ案内された新十郎は,
    凶状持ちで島へ来たことを話し,
    親分の持つ酒杯のグラスを,目にも止まらぬ早業で,
    真っ二つに斬って割るという達人剣の腕前を見せつける。
    驚いた親分は,シンザを仲間に入ることを許可する。
    ちょうどそこへ来たお駒は,頭領からの指令があり,
    麻薬の取引相手である「玄界灘のリュウ」が,
    近く訪れることを告げる。 
    碇亭を後にした新十郎は,再び「乞食上人」と出会う。
    島の「頭領」とは誰なのかと尋ねると,
    長生きしたければ余計な詮索はするなと,乞食上人は言う。
     
    翌朝,町を出て行くおりゅうは,途中の橋の上で政に刺され,
    金を奪われたうえ,川へ突き落されて絶命する。
    おりゅうの亡骸を運ぼうともせず,その場を去る政達を見て,
    芳蘭は千太郎と共に嘆き悲しむ。
    亡骸を運ぼうとした千太郎は,傷口を見た途端,
    いつかの同心の傷と同じだと口走る。そこへ新十郎が姿を見せ,
    「ついでに同心の始末をつけてやってもいいぜ」
    などと言いながら,千太郎と一緒に亡骸を運ぶのを手伝う。
     
    蛮社の獄に連なって公儀に追われたオランダ医学の権威である医師:佐久間良英(リョウエイ)の手当てによって,左近は一命を取り留めていた。
    良英のもとへ行った新十郎は,同心など知らないと言われるが,
    良英が島に身を隠し,医療を施しているという素性を知っていた新十郎は,自ら正体を名乗って警戒を解き,左近のいる奥の間へ通された。 
     
    左近が刺された脇腹は幸い急所を外れ,
    傷は回復に近くなったが,悪党達の目が光っているため,
    迂闊に外へ出せず,今まで匿われていた。
     
    新十郎は,そこで,お駒がアヘン中毒だと知らされる。
    お駒は,頭領によって麻薬付けにされたまま島に縛られており,
    良英は,かつて何度もお駒を治療しようとしたが,失敗したという。
    左近によれば,頭領の素顔を見た物は誰もいないとのこと。
    新十郎は,近いうちに島へ来る客人があるため,
    頭領も必ず顔を見せるはずだと睨む。
     
    新十郎は,左近を脱出させるため,
    死んだおりゅうの着物を来て棺桶に入るよう指示していた。
     いやいやながらおりゅうの着物を羽織った左近は,
    早速,棺桶に入る。
     
    政を呼び出したお駒は,おりゅうを殺して金を奪ったのは政の仕業であることを指摘し,おりゅうが生前,まさかの時は海に沈めて欲しいと遺言していたことを持ち出し,政に埋葬をするよう指示する,
     
    新十郎と千太郎,芳蘭が,棺桶を荷車に乗せ,舟まで運んでいたところ,途中で,乞食上人に呼び止められ,
    棺桶の中身の仏に読経をしたいとせがまれる。
    フタに釘を打ってあり,開けられないと断る新十郎達だが,
    そこへ碇亭の親分はじめ,悪党達が来て,
    中を見せられない理由でもあるのかと,
    無理矢理,蓋を開けられてしまう。
    と,そこには,まぎれもなく,おりゅうの死体があった。
     
    政は,棺桶を乗せた小舟に乗り,ひとり沖へ漕ぎ出した。
    舟の上で棺桶の蓋が勝手に開く物音を聞いた政は,俄かに驚く。
    やがて蓋が完全に開き,
    おりゅうの死体の上半身が起き上がった途端,政は気絶する。
    起き上ったおりゅう…の顔の変装を剥がした左近は,
    政に縄にかける。
     
    千太郎は芳蘭を連れ,一緒に舟に乗って逃げようとするが,
    悪党一味が現れ,碇亭に連れ戻される。
     
    やがて,「玄界灘のリュウ」の娘と偽り,
    舟で島へ到着したかがりは,碇亭の店の奥の間へ通される。 
    覆面に目だけを覗かせた頭領が,かがりの接待に出て来るが,
    そこへ出されたシャンハイの茶の飲み方を知らなかったかがりは,
    偽物だとバレてしまう。
    短銃を手にした頭領の男は,その場にいる新十郎の正体も知っていた。
     
    覆面を取った頭領の正体は,乞食上人だった。
    かがりは,既に脱出した町方の左近の知らせにより,
    島は役人達に包囲されていると告げるが,
    悪党達は,一斉に外へ猟銃を撃ちまくる。
    かがりは,そこにあった茶碗を頭領の短銃へ投げつけて落とし,
    新十郎は,刀を頭領の顔の前へ突き付けながら,
    片腕で親方を取り押さえる。
    勝負あった…と思いきや,突然,床が落下し,新十郎とかがりは,
    地下室へ落とされてしまう。そこには千太郎がいた。
    頭領は,火をつけてその場を去った。
     
    煙が立ち込める中,かがりは壁の下を掘るが,
    すぐに脱出できそうもない。
    すると,外からお駒が壁の隠し扉を開き,新十郎達を逃がす。
    皆で逃げる途中,悪党達が銃弾を浴びせてくる。
    お駒は咄嗟に新十郎の盾となり,その身を撃たれてしまう。
    悪党達をはじめ,乞食上人の頭領を斬り伏せた新十郎は,
    お駒のもとに駆け寄り,その身を抱き起こす。
     
    お駒は苦しい息使いのもと,
    千太郎と芳蘭に,早く逃げて二人で幸せに暮らすよう言い渡す。
    そして,新十郎に昔の恋人をダブらせつつ,
    「お駒」と名を呼んで抱きしめて欲しいと懇願する。
    新十郎が何度かお駒の名を呼ぶ中,彼女は息を引き取った。
    その不幸な一生に同情し,無念の表情を浮かべる新十郎であった。

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    風…第26話「無法の宿場」

  • 2011-08-31 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第26話…無法の宿場
     
    ※結構,この話の画像を拾ってたんだよね、新十郎を殆ど知らない頃。

    ▲モノクロ画像をカラー風に光源染色化。

    以前見かけたときは話の内容を全く追わなかったけど,今回フルで見て笑えた!
    「中村胡蝶」役の女歌舞伎の旅芸人さんは,最初見たとき,失礼ながら
    「女形の人」だと思ってた。栗ちゃまが妙にニヤニヤしてたしね。
    踊りが極上に上手くて,うなじが色っぽい胡蝶さんだけど,
    お顔やしぐさがお人形さんみたいで,な~んか、やけに面白かった。
    「新十郎と、旅が続けられる(ウソも方便)!」…と思ったときの
    胡蝶の嬉しそうな表情が,なんとも可愛らしかった(●^o^●)。
    💛新十郎「もっとこっちへ寄ンなよ」ってセリフがまたドキドキでキャー!💛
     
    (アラスジ)
     
    夜分,老中水野の屋敷の前で,
    上州板鼻(イタハナ)のもと代官・林田七郎兵衛が,
    訴願状を持って切腹した。
    上州を管轄する勘定奉行によれば,
    林田が板鼻の油屋から多額の賄賂を受け取ったため,
    罷免したとのこと。
    しかし,訴願状によれば,
    林田は,上州一円のヤクザどもを追放するため,
    油屋より寄付金を受け,浪士を駆り集めようとしたという。
    ヤクザ者が多い板鼻宿では,便宜的な手段(便法)として,
    親分の万三(マンゾー)に十手を預けているため,
    動向を探るにも容易ではない。
    そこで水野は,上州・板鼻宿へ,新十郎を向かわせる。
     
    (流れ)
     
    同じく板鼻宿へ向かった左近とかがりは,
    林田へ賄賂を渡したという油屋が,何者かの放火によって全焼し,
    家の者も全滅した件で宿場を調べる。
    すると,そこへきた万三の子分達に絡まれる。
    が,その場へ旅芸人一座の一行が到着し,挨拶をし始めるや,
    子分達の眼はそちらへ移る。
     
    新十郎は,その女歌舞伎の旅芸人一座に目を付け,
    用心棒となって,江戸から上州の板鼻宿まで共に旅をして来た。
    かがりと左近は,一座にまぎれてビラ配りをしている新十郎を発見する。
     
    板鼻宿へ到着早々,新十郎はまず,
    宿場を取り仕切るヤクザの親分で,
    十手持ち(岡っ引)の万三のところへ出向き,
    強引に一家の用心棒にしてくれと頼み込む。
    が,そこには,既に斎藤順之介という用心棒がいた。
    「いまだに負けたことはねえ」と豪語する新十郎の前で,
    俄かに抜刀した斎藤は,同じく咄嗟に抜刀した新十郎の刀に
    先手を取られて動きを止められる。
    斎藤は素直に負けを認め,自ら万三一家を去った。
     
    新十郎は,用心棒になった手土産として,
    旅芸人一座の勧進元(カンジンモト※地方興業主)なって欲しいと
    万三に頼み込む。
    万三は,当初,興業に関しては弟分である浅二郎の役目だと言って断るが,
    女歌舞伎の座長:中村胡蝶(コチョウ)は,
    たいそうな「べっぴん(美人)」だと子分から聞くや否や,
    掌返して新十郎の依頼を受けてしまう。
     
    メンツを潰されたと思った浅二郎は,
    胡蝶の芝居小屋の裏手にいた万三に怒りをぶつけに来る。
    危うく血の雨になりそうだったところ,奥から胡蝶が出てきて
    双方の顔を立てるべく仲裁に入り,事なきを得た。
    雨太郎(=新十郎の偽名)紹介した上州の宿場で,
    興業主の依頼先を間違えたうえ,
    肝心な時に紛争の場におらず,役立たずだったことに憤慨した胡蝶は,
    一座から雨太郎を追い出してしまう。
     
    胡蝶は,自ら万三と浅二郎の二人を招く席を持ち,
    彼らのために公演期間を延長することを約束する。
    浅二郎は,万三に収益の一部を提供することにし,双方和解した。
    この話を廊下の障子越しに聞いていた新十郎は,
    当てが外れたとばかりに退散しかかるが,
    庭先で万三らの気配をじっと窺っていた武家娘に気が付く。
    意を決したその娘は短刀を抜き,庭先から座敷へ押し入ろうとするが,
    新十郎がこれを止める。
     
    娘の滞在する旅籠へ行き,事情を聞く新十郎は,
    短刀の家紋から,
    水野の屋敷前で切腹した林田の娘・雪ではないかと尋ねる。
    (「お雪さん」違い…燃えよ剣(^_^;)。)
     
    林田の娘・お雪は,父が油屋から賄賂を貰っていたなど有り得ないと信じ,不正事件として片づけた万三を恨んでいた。
    一人で真相を探ろうとするお雪に協力する者は誰もいないのかと
    新十郎が尋ねたところ,
    お雪は八州回り(関東取締出役=トリシマリシュツヤク※関八州)
    所在不明の「水谷」という侍の名をあげた。
     
    その頃,かがりと左近は,浅二郎一家を訪れていた。
    早速,左近が用心棒のクチを頼むが断られる。
    そこで,かがりは,イカサマ博打ができると言い,
    試しに振り師になって,
    事前に予測したサイコロの目をピタリと合わせる技を披露する。
    八百長は認めていないという浅二郎だが,かがりの技に感心し,
    表向き,二人を客人として招き入れる。
    浅二郎も子分も,左近とかがりが八州回りか
    公儀の隠密ではないかと暗に疑っていた。
    やがてそこへ,万三一家の用心棒をお払い箱になった斎藤が訪れ,
    今度は,浅二郎一家の用心棒となった。
    かがりは,油屋放火事件の証拠となるものを密かに物色するが,
    何も見当たらない。
     
    一方,新十郎は,万三から胡蝶との仲を取り持つよう頼まれる。
     
    やがて開かれた胡蝶一座の公演の席に呼ばれた万三と浅二郎は,
    デレデレ状態で御観覧。
    客席の後ろのほうで胡蝶の見事な舞いを見ながら策を練っていた新十郎は,公演終了後,引き揚げる万三を呼び止め,
    「胡蝶が料亭・まつの屋で待っている」と,こっそり告げ,
    次いで浅二郎にも同じことを伝える。
    下心のある万三や浅二郎は,もうウハウハ。
     
    まつの屋では,先回りして試案する新十郎の姿があった。
    そこへ来た胡蝶は,新十郎からヤクザ達を喧嘩させる算段でいること聞き,自分を売り渡そうと企んでいるのではないかと誤解する。
    それを否定した新十郎が正体を打ち明けようとした時,
    表で万三が刺し殺されたと騒ぐ声がする。
     
    万三の殺害現場には,浅二郎の煙草入れが落されていた…と,
    新十郎のあとからそこへ来た斎藤が,証拠の品を見せ,
    自分が第一発見者だと言う。
    斎藤の小細工ではないかと不審感を抱く新十郎だが,
    はたと思いつき,お雪のいる旅籠へ向かったところ,
    短刀を手にしたお雪が自害しようとしていた。
    お雪は,まつの屋の前に来た万三に,父の事件の真相を聞こうとしたが,
    脇差を抜いた万三を見て,咄嗟に短刀で刺してしまったという。
    新十郎は念のため,お雪の短刀を拝借しておくことにした。
     
    その頃,かがりは,万三が浅二郎に充てた手紙をようやく発見する。
    手紙には,
    「油屋に火をつけてくれれば,あと二年のうちに十手を渡す」
    との内容が書かれてあった。
    かがりが手紙を入手して間もなく,
    万三殺しの下手人として疑いのある浅二郎に向かって,
    つい同心口調で「刀を見せてみろ」と口走った左近は,
    隠密役人だとバレて捕まり,程なく,かがりも一緒に捕まってしまう。
     
    新十郎は機転をきかせ,自ら八州回りの役人「水谷」に化けて,
    浅二郎を呼び出す。
    浅二郎は,早速,賄賂の金を用意し,万一のときは,
    全て万三に脅かされてやったことにするつもでいた。
    既に万三一家へ滞在し,その悪事はつかめたと言う新十郎は,
    八州役人として,その場で浅二郎に十手を収めさせる。
    胡蝶は,八州回りの役人に挨拶に来るが,それが雨太郎だと知って驚く。
    新十郎は「おもしれェ芝居が見られるぜ」と笑う。
     
    万三の子分達は,浅二郎に親分を殺された(と思い込んでいる)だけでなく,十手まで取られてしまったことに激怒し,浅二郎一家へ殴り込みをかけるべく,上州一円に散在するヤクザ連中を一挙に召集しにかかる。
    一方,浅二郎一家も殴り込みに備え,戦闘準備を整えていた。
     
    浅二郎一家の用心棒となった斎藤と道端ですれ違った新十郎は,
    互いに刃を交えるが,そこで互いの正体を「何者だ?」と問う。
    新十郎に対し,「随分,突飛なやり方だが,八州取締としては間違っちゃいない」という斎藤こそ,実は八州取締役の水谷だった。
    新十郎は水谷に,お雪の短刀を渡し,彼女が旅籠で待っていると伝える。
     
    お雪と水谷は,ようやく再会を果たす。
    水谷は,その昔,お雪の父から「貧乏旗本の次男坊には嫁にやれぬ」
    と言われたことで,お雪がてっきり他者と婚姻したものと思っていたが,
    水谷や娘のことを認め,気にかけていた父の意向により,
    婚姻は破談になったという。
    新十郎から渡された短刀を,お雪に返す水谷。
    水谷も,万三をお雪が刺したことは知らなかったという。
    「一年のうち殆ど旅暮らしだが,辛抱してくれるか」と
    お雪に自分との婚姻の意思を尋ねる水谷。
    感極まったお雪は,その場に泣き伏せる。
     
    浅二郎一家の根城に,
    万三の子分をはじめとするヤクザ連合の殴り込みが始まった。
    かがりは,騒動が勃発するや,左近と共に縄を抜け,
    乱闘に参加する。
    そこへ斎藤こと水谷も来て,やがて新十郎も乱入する。
     
    その後,ドタバタ劇の外へ出て来た新十郎は,
    そこにいた胡蝶を傍に呼び寄せ,
    自分が八州回りでもなんでもなく,
    風来坊であることを話す。
    本物の八州回りに捕まらないかと心配する胡蝶に,
    新十郎は,一座にかくまってほしい…などと頼んだりする。
    (騒動に巻き込んだ,お詫びのリップサービス…(^_^;)?)
    胡蝶はその言葉に嬉しさを隠しきれない。
     
    やがて,殴り込みを受けてヘロヘロになった浅二郎のもとへ,
    八州取締役姿にその身を改めた水谷順之介が役人二名を従えて来る。
    浅二郎は,油屋一家殺害の罪状によって召し取られた。
     
    一足先に,老中水野のもとへ戻ったかがりは,
    新十郎が女座長に目が眩んで,帰ってこないと断言し,嫉妬満々。
    水野は,新十郎が役目とはいえ八州の名を語ったことを気にしているのではないか?と,慮って笑う。
     
    旅芸人一座が出立の際,雨太郎(新十郎)の姿はなかった。
     
    同じく,お雪と水谷も,仲睦まじく板鼻宿を出立する。
     
    新十郎は,ひとり,旅路の歩を進めていた。
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    急性白血病で急死した福島第一原発作業員

    8月に入って1週間程度,ドアの開閉や放射線管理をしていたという福島第一原発の作業員が急性白血病で急死した。
    事前の健康診断で白血球の数に減少は見られなかった=持病でもなんでもない。
    今度こそは,原発事故で浴びた放射能と因果関係ありだと思いきや,またこれを否定した東電。
    低い数値の放射線量しか浴びていなかった…って,猛毒のプルトニウムはアルファ線の低線量でも微量に体内に入っただけで肺ガンを誘発するわけだから,放射線量云々で直ちに因果関係なしというのは,あまりにも酷い。ちゃんと解剖して検死したのかどうかも不明だし。
    以前,心筋梗塞で亡くなった電動ノコギリ運んだ作業員の場合,持病がなかったはずなのに,持病にされ,今度は早急に因果関係なしとされてしまう。
    やっぱり,相変わらずの隠ぺい事無かれ体質のまま,見せかけだけ平穏無事を装っているとしか思えない。
    既に福島県の土壌では,チェルノブイリの強制非難区域同様,148万ベクレル以上の放射性セシウム137が検出されている(相変わらずセシウムしか出てこない)から,またもとへ戻って以前と同じような生活を営むことは無理だし,
    除染すれば住めるようになるだの,
    風評被害だのというレベルの話ではなく,
    もう完全にヒトが住めない場所が,
    この日本の土地に存在するのも事実…。
     
     
    狭い自分の生活の中の
    ほんの小さな幸せを噛みしめてる場合ではないんだけどね…本当は。
    よくラジオなんかの投稿を聞いてると,
    福島の事故は他人事…としか思えないような内容も,沢山ある。
    自分の小さな生活の幸せさえあれば,
    それでいい…みたいなヤツね。
    そんなつまらんことを,わざわざ世間に公表してどうすんねん…と,いつもとこかで思ってしまうんだけどね。
    ある内在した危険を敢えて無視して,
    不自然に「前向き」を意識して,
    偽りの平和安全志向みたいなものに同調している雰囲気すら感じてしまう。
     
     
     
    否応なく,気になるものが迫っている。
    今度の台風は,福島第一原発を直撃するはず。
    現場は多分,人が急性の発がん症状となるほどの凄まじい放射能汚染が進行しているのに,この国では,ニュースにすらしなくなっている。
    いたずらに不安をあおるとかいう類のものではなく,事実は事実として,国民に知らせるべきなのに,また隠されて行く。
     
    時限爆弾を抱えているようなこの国の
    現状は,震災後から何も変わってないのにね,事故は継続しているのにね,
    今,原子炉の地下はどうなってんだろうね…。
    台風で,プールの水も溢れて,
    あそこの敷地全体が,大量の汚染水で
    水浸しになると…どうなるんだろうね。
     
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    風…第25話「江戸借春譜」

  • 2011-08-29 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第25話…江戸借春譜
     
    ※松竹の蔵出しフィルム原版発掘により
    今回,CS時代劇専門チャンネルで復活放送された「幻の第25話」
    (実相寺監督作品)。映像がどこかドキュメンタリーっぽい。
    途中,4分間ほど,音声のみで映像が欠落していたところ,
    当時の台本を参考にしたシナリオが字幕化されていた。
    わりと単純な話で,新十郎は,ほぼ脇役に近く,
    展開も若干間延びしていて,最初から筋書きもほぼまるわかり。
    ちょっと退屈だった。バックに流れる音が木魚とか御経とか
    葬式関係のチーンとかで,ベタッとした暗い雰囲気があった。
    かと思えば,ラジオ体操か,路上の宅配自動車から流れる爽やかで明るい曲が流れていたり…と,奇妙な感じが残った。
    結末も,わからんではないけど,個人的には,どうもねえ(-_-;)…。
    一部のフィルムが欠けた原因って何だったんだろ…?
    そっちのほうも気になった。
     
    アラスジ)※これは展開が単純だったから大雑把にまとめ。
     
    北町奉行所の与力・永井半太夫が,渡し船の中で殺害された。
    偶然近くにいた新十郎の知らせで駆けつけた相川左近は,
    遠くから現場を見つめるお七のことが,やけに気にかかる。
    御用日記を調べたところ,一年前,
    罪人として島流しの刑となった町人・徳三郎の船出を見送る際,
    遠くから沖をじっと見つめるお七の姿があったことを,
    左近はふと思い出す。

    新十郎は,公儀勘定方・館林外記(タテバヤシ ゲキ)と
    米問屋・伊勢屋三右衛門が画策した「公儀お買い上げ米」
    不正事件に関わるカラクリを調べる。
     
    一年前,幕府による越後米の買い上げに際し,
    まず,米問屋の伊勢屋が越後の百姓から,
    古米を百俵当り,相場より十両安く買い付けて仕入れ,
    それを相場通りの値段で幕府に買い上げさせることにより,
    十万俵につき一万両の儲けが出る目算を立てた。
    公儀の役人には米の値段など判らないため,
    勘定方の館林は伊勢屋に対し,
    「安く買い付け,相場通りの値段で収めよ」と命じていた。
    (という,全部見て来たような新十郎の報告…(^_^;)。) 
     
    伊勢屋と館林が,儲けた金を五千両ずつ山分けにする話をしていたところ,館林の屋敷の庭先に,植木屋の徳三郎がいた。
     
    秘密を聞かれたかもしれないと思った館林と伊勢屋は,
    念のため,「徳三郎が,金五十両入りの手文庫を盗んだ」と,
    架空の事件を伊勢屋から番所へ訴えることにし,
    知らせを受けた町方の左近によって徳三郎は引っ立てられてしまう。
     
    その直後,留守になった徳三郎の長屋へ,
    館林の手下の浪人・十内が忍び込み,
    手文庫(書類や手紙を入れる小箱)を床下に入れ,
    その周辺に小判をバラまいて,証拠をでっちあげることにした。
     
    この調べを担当したのが奉行所の与力・永井半太夫で,
    「床下から手文庫が出て来た」という偽りの証拠から,
    徳三郎は,拷問を受けた揚句,無理矢理,役人に手を掴まれて,
    口書き(取調べ調書=供述調書)に爪印(押印)させられてしまった。
     
    この一件の裏で,伊勢屋から金を貰って徳三郎を罪に陥れた奉行所の永井は,その後も館林を強請って出世しようと企むほか,
    伊勢屋に金を要求し続けるなど,横柄な振舞いをしていたため,
    館林の命令により十内が永井を斬り,口封じも兼ねて抹殺した。
     
    その後の調べから,
    同じ長屋の隣同士で幼馴染だったお七と徳三郎は,
    互いに早くから両親を亡くし,
    兄妹のように助け合って育った仲だったとわかる。
    無実の罪で遠島となった徳三郎のために,
    「提げ重(娼婦=売春婦)」にまでその身を落したお七。
     
    提げ重(サゲジュウ)
    ※江戸時代の娼婦【私娼=売春婦】のこと。
    表向きは,手提げの重箱に食物などを入れて売り歩いていた。
     
    やがて十内は,更なる口封じのために伊勢屋までも斬り殺した。
    お七は,口封じを済ませた十内と一緒にイチャつきながら高笑いする。
    越後の百姓から伊勢屋が古米を安く買い上げたときの証文を
    密かに隠し持っていた陣内は,
    公儀が買い上げた米の値段と,その証文の値段を付き合わせれば,
    差額は一目瞭然だと,お七の前で話す。
    そのうえで,
    館林には十内がその証文をどこに隠し持っているかは知らないため,
    軽率に扱われる恐れはないと余裕を見せる。
    お七は,証文がやっと手に入ったと実感しながら懐に仕舞う。
    その様子を怪訝に思う十内…
    と,そこへ
    「御存知,風の新十郎と相川左近だ!」がババンと踏み込んで来る。
    (↑まんまこのセリフ言ってるし…(^_^;)。)
     
    遅れてかがりも現れ、逃げる十内とお七を追い詰める。
    あとがなくなった十内は,咄嗟に懐から短銃を出して構える。
    が,横にいたお七の短刀が,十内の脇腹をドスッと突いた。
     
    徳三郎の無実の恨みを晴らすため,
    わざと十内に近づき,夫婦同様に暮らしていたというお七。
    徳三郎が島送りになった日から,
    人間の心を捨てて鬼になったというお七は,
    「それ以外,弱い自分に徳三郎の仇を討つ術がなかった」
    と打ち明ける。
    泣き崩れるお七に対し,かがりは老中に事の次第を話したえ,
    徳三郎をきっと御赦免にすると約束する。
     
    その後,徳三郎は御赦免となった。
    舟が江戸へ着いたとき,迎えに来たのは左近ひとり。
    左近は徳三郎に,「お七は,もうこの世にいない」と告げる。
     
    同じ頃,旅支度のお七を新十郎が見送りに来ていた。
    「あの人とあたしは,かけがえのない,綺麗な深いものだった。
    それだけに,いつまでも汚したくない,一生,大事にとっておきたい」
    と言うお七は,徳三郎に逢うこともなく,江戸を去ることに…。
     
    お 七 「新十郎さん,あたしって,悪い女なんでしょうね」
    新十郎 「お七さん,あんたはいい人だ。
          この世にまたとねえほど綺麗な心を持った,いい娘だ。
          この新十郎が知っている」
    (嘘でもいいから,栗ちゃまからこんなふうに言われてみたいもんだ)
    お七は,一人,江戸を旅立つ。
     
    (余談)
    恋人の徳三郎が死んじまったんならまだしも,
    罪人にされてからも生きているわけで…,
    なのに,
    無実の罪で遠島になったことを恨み,憎み,悲しみ,
    当人に代わって仕返し(仇討)をする…
    この動機付けに,ちょっと無理があるかな…と。
    罪人にされたとはいえ,愛しい人は生きているのに,憎い敵を殺す。
    しかも売春婦にまで身を持ち崩し,
    敵と同居して油断させたうえ…とどめを刺すという女の生きざま。
    いくら弱い女の身の上でも,
    そこまでやるこたァないような気がするけど…。
    第一,好きな相手からすれば,自分の無実の罪を,
    そんなことまでして晴らして欲しいとは思わないだろうに。
    女の怨念の深さは恐ろしい…ということか。
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    異様な民主代表選(+o+)

     
    誰がやっても,ろくな政権運営もできないとは思うし,もう民主党の末路は見えた。
    次の選挙じゃ,誰にも入れたかないね。
     
    今度の総理候補者を見れば,
    増税大好きガマグチカバオヤジに
    口先だけのニセターミネーターに
    野党の意見が大事なノーテンキオヤジに
    操り人形のナキヤブシオヤジに
    「松の廊下」になりそうな青年将校もどき。
     
     
    結局,国民大多数の意向とは乖離して,
    脱原発路線じゃないね,民主党って。
    誰もはっきりしたこと言わないもんね。
     
     
    金星大好きな宇宙人(H)と大黒様(O)は,
    早々と海江田氏を指示するらしいけど,
    この間やらせメール問題の責任とってやめるとか言ってたくせに,なんで総理候補で出てくるのかね?
    しかも,菅内閣の一員だった人間が,
    何の責任も取らずに,ノーノーと
    昇格して政権運営しようとすること自体,
    なんかおかしいや。
     
     
    党員資格のない大黒様の後光(後ろに金がある)欲しさに皆,ご参拝あそばして,
    異様な光景の民主党代表選。
     
    どの道,来年の9月までしか任期がないし,また僅か1年たらずの短命総理。
    もし海江田氏が総理になったら,
    ストレステストなんて名ばかりで,
    み~んな原発再稼働させちゃうよ。
    恋夜はイヤだ。だから,まだ,お面が崩れていない前原氏のほうが良さそうだけど,
    彼も再稼働容認派でしょ。
    フリ幅はあっても,ろくなもんじゃないね。
     
     
    なんか,
    政治には絶望しか感じないやね。
     
    民主党は,もうダメだよ。
    かといって,自公民もダメだしね。
     
    新しく脱原発・発送電分離を唱える政党でも立ちあげないと,
    この国の将来は暗いね。
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    風…第24話「野望の絵図」

  • 2011-08-26 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第24話…野望の絵図
     

    ※やっぱり,第1話から通して見ている感覚と,
    以前ここからポッと,画像拾うためだけに見たのとでは,
    全然,感覚が違う。
    新十郎にしても,かがりにしても,よくわからんな…と,
    人物像を把握できていなかったから話も「?」だったけど,今なら納得。
    血風録の「源(北村)さん」が,またまた薩摩藩の侍で登場(~o~)
    同じく「総司の姉さん」も。
     
    (アラスジ)
     
    大雨で舟が渡せず,川止めとなった川崎宿で足止めされる間,
    地理学者が作った薩摩藩の砲台などを示す詳細な地形の絵図面を巡り,
    薩摩の手先達と新十郎,かがりの間で争奪戦となる。
     
    (流れ)
     
    川崎宿にて,大雨の晩,雨宿りするため辻堂へ飛びこんだ新十郎は,
    そこで侍の男が刃物を胸に差した状態で死んでいるのを発見する。
    男を抱き起こした時,そこへ来た旅姿のお千佳が悲鳴を上げて走り去る。
    新十郎は,お千佳を追いかけるが,外は土砂降りのため,見失う。
     
    大雨で川止めとなり,舟が出ないため,
    新十郎は,相模屋という旅籠へ泊ることにした。
    部屋でくつろいでいると,
    番頭がいきなり新十郎の背後にあった刀を奪い,
    そこへ来た代官所の侍・笹山達へ渡してしまう。
     
    辻堂で侍を殺した下手人として疑われた新十郎は,
    「近所の婆さんに頼まれて川崎大師へお札を取りに行った帰りに,
    雨宿りに飛びこんだ辻堂で,侍が息を引き取るのに出くわした」と
    既にそう代官所に届け済みだと言う。
    しかし,そのあと届け出た旅姿の女(お千佳の)の目撃証言から,
    人相風体が「殺しの下手人」に間違いないとのことで,
    新十郎は笹山らに連行され,番所ではなく,ある居酒屋へ入る。
     
     
    その頃,川崎宿の相模屋へ,若武者に化けたかがりが訪れる。
     
     
    居酒屋へ集まった五人の浪人の目当ては,
    辻堂で死んだ男の所持品だという。
    新十郎は,何の心当たりもないため知らぬ存ぜぬで通す。
    その態度にいらついた浪人の源之丞は,新十郎に襲いかかる。
    が,咄嗟に身を翻した新十郎は,源之丞が持つ短銃の手を掴み,
    親玉の勘兵ヱに銃口を向ける。と同時に,勘兵ヱの抜いた刀が
    新十郎の喉もとで止まる。
     
    勘兵ヱが言うには,頭のイカレた奴に銃を乱射されては困るため,
    その銃には弾が入っていないとのこと。
    新十郎の手強さを見抜いた勘兵ヱは,刀を返してやり,
    川止めで,当分,どこへも行けないだろうことを見越して,
    新十郎を解放する。
     
    勘兵ヱ達の居酒屋の様子を陰から覗いていたお千佳は,
    薩摩藩の家老・伊集院のもとへ行き,
    大雨で勘兵衛達とはぐれてしまったことや,
    絵図面は井沢を殺した男に奪われたらしいことを話し,
    今,勘兵ヱ達がその男を捕まえて白状させている最中だと報告する。
     
    伊集院は,井沢の地図には薩摩藩の海岸の砲台,隠し番所,
    舟の出入りまで克明に記されているため,
    その絵図面が公儀の手に渡れば一大事だと案じていた。
    お千佳は,品川に着くまでにはきっと手に入れてみせると自信を見せ,
    勘兵ヱ達と手柄を山分けするのはイヤだと文句を言う。
    伊集院は,絵図面を手に入れたら,
    勘兵ヱ達とは別に百両渡すと約束する。
    お千佳は,百両では不足…と含み笑いする。
     
    新十郎は相模屋へ戻った。
    謝る番頭は,お詫びに「夜の女」を無料で紹介しようとするが,
    「見損なうな!」と一喝される。
    ヤボな新十郎をよそに,番頭は,ふと,かがりのことを思い出す。
     
    部屋で寝そべり,お菓子を食べながら,表紙だけ「蘭学新書」
    を装った本(コミック本サイズ)を読んでいたかがりの部屋に,
    番頭が来る。
    慌てて居ずまいを正すかがりに,「夜の女」を紹介するという。
    焦ったかがりは,「頭がおかしくなった」と部屋を飛び出す。
     
    お千佳は,勘兵ヱらが新十郎を連れてきた居酒屋へ戻る。
    店のオヤジによれば,勘兵ヱ達は女遊びに行ったらしい。
    お千佳は,勘兵ヱが店の借り賃をいくら支払ったかオヤジに聞いたあと,
    帯の後ろから布に包まれた絵図面をハラリと出してニヤリと笑い,
    「これが百両や二百両のはした金で渡せるかってのさ」と言って,
    また帯の中へ仕舞い込む。
    と,そこへ源之丞が来る。
     
    お千佳が絵図面を入手していたことを知った源之丞は,
    皆にばらすと言い,お千佳を居酒屋の外へ連れ出したうえ,
    下心丸出しで近づく。が,お千佳は離れて相手にしない。
    すると源之丞は突然,短銃を構え,言う事をきかないと殺すぞと脅す。
    空砲だと知っていたお千佳だが,その足もとへ銃弾が飛ぶ。
    弾を,こっそり盗んで詰めてきたという源之丞。
    そこへ駆けつけたかがりは,成り行きで源之丞を斬る。
     
    お千佳は,かがり(の強い男らしさ)に惚れ込み,
    一緒に相模屋へついて行き,番頭へ金を渡して,
    かがりの隣の部屋を融通させ,ちゃっかり晩酌の相手をする。
    「地理学者の井沢が殺された」と聞いたかがりは,
    お千佳が酒の徳利を追加しに部屋を出て行くや,
    彼女の部屋を調べてみる。が,何も見あたらない。
    かがりは徳利に眠り薬を入れる。
     
    その間, お千佳は公儀の役目の者だと言って,番頭に絵図面を預け,
    万一の時は,預けた物を大目付に届けるよう念を押す。
     
    番頭がお千佳から絵図面の布包みを預かり,
    それを座布団の下に隠したちょうどそのとき,
    横の廊下から新十郎が手拭い片手にやって来て,
    お千佳の後ろ姿を確認する。
    番頭から,今行った女(お千佳)は,
    公儀のために働いている女隠密らしいと聞く。
    するとそこへまた勘兵ヱが来て,
    新十郎を外に呼び出す。
     
    お千佳を眠らせたかがりは,
    着物の間を探るが,絵図面はどこにもない。
     
    先ほどの居酒屋へ行った新十郎は,
    勘兵ヱから「弟の源之丞を斬ったな」と疑いをかけられる。
    最近,人を斬った覚えはないと,新十郎が差出した刀身を見た勘兵ヱは,
    脂の跡がないことを確認する。
    斬った形跡がないため,勘兵ヱは刀を返して引き返そうとする。
    が,二度も疑われた新十郎は引き下がれず,
    辻堂で殺された侍の件について,「ひとくち乗せろ」
    (仲間に加えろ)と言う。
     
    了解した勘兵ヱは,死んだ井沢の作った絵図面を奪うよう
    薩摩藩の伊集院から命じられていることを新十郎に話す。
    地理学者の井沢は,公儀の命令を受けて薩摩藩に潜入し,
    藩の極秘である海岸の砲台や密貿易を探り出し,
    克明な絵図を作り上げたという。
    薩摩藩が直接手を下せないことから,
    勘兵ヱ達をはじめ,お千佳も雇われたとのこと。
    そこで新十郎は,自分も勘兵ヱも井沢を殺していない
    とすれば,お千佳が怪しいと睨む。
    すると居酒屋のオヤジは,お千佳が大事そうに
    帳面のようなものを持っていたのを思い出す。
     
    深夜,勘兵ヱ一味の笹山ら町方三名が相模屋へ行き,お千佳を連れ出す。
    その後,伊集院や勘兵ヱ,新十郎達の前に引き出され,
    開き直ったお千佳は,絵図面を手に入れたことを白状する。
    既に絵図面は「ある場所」へ預けてあり,
    万一,自分が朝までに取りに戻らないときは,
    公儀に届けるよう指示してあると言い,
    欲しければ,千両で買い取れと,したたかに要求。
    新十郎は,お千佳が番頭に渡していたのが絵図面だと気付き,
    退席しようとする。
     と,勘兵衛が天井裏に潜む何者かの気配に気付き,刀を投げる。
    障子を開けて廊下に出た新十郎は,かがりが逃げるのを見たが,
    気のせいだと誤魔化す。勘兵衛は不審そうに新十郎を見る。
     
     
    翌朝早々,かがりのもとへ番頭が来て,身分を確かめようとする。
    かがりが「水野のゆかりの者だ」と知ると,番頭は安心し,
    お千佳から預かった絵図面を渡す。
    番頭と話を続けるかがりが,ひょいと絵図面を床の間へ置いたところ,
    新十郎が天井を開け,上から紐で吊って盗み出す。
     
    新十郎を追いかけようと障子を開けたかがりの前に,
    勘兵衛達がいた。そこで互いに抜刀して乱闘となり,
    かがりの太刀筋を見た勘兵ヱは,
    源之丞を斬ったのは,かがりだと確信する。
    部屋の壁際に追い詰められ,身動きできなくなったかがりは,
    おとりとして捕まえられてしまう
     
    新十郎は伊集院に絵図面を見せ,
    千両で渡すと言い,ついでにお千佳も渡してもらおうと要求する。
    と,そこへ勘兵ヱが来て,かがりを捕まえたことを知らせる。
    新十郎が昨夜,かがりをわざと見逃したことに勘づいていた勘兵ヱは,
    くのいちと関係があるに違いないと見抜いていた。
     
    新十郎は,居酒屋に捕まっている女達(かがりとお千佳)
    と引き換えに,絵図面を勘兵ヱに渡すことにした。
    受け取った勘兵衛は,おとなしく居酒屋を去る。
    縄を解かれたかがりは,絵図面を取り戻そうと必死になるが,
    新十郎は,本物の絵図面をかがりに見せる。
     
    伊集院に絵図面を差し出す勘兵衛。
    だが,中を見ると,違う書物だった。
    伊集院は烈火の如く怒って勘兵ヱを「張り子のトラかと」叱責する。
    まんまと新十郎に騙された勘兵ヱも,怒り心頭,
     
    新十郎は,かがりが読んでいた本と絵図面をすり替えたと話す。
    一方,辻堂で死んだ男は誰に殺されたのか疑問だったところ,
    お千佳によれば,井沢は絵図面を取られたことで責任を感じ,
    自ら胸を刺し自害したという。
    そこへ偶然,新十郎が来たため,
    お千佳は「殺しの罪」を被せたとのこと。
    その話を陰で聞いていた勘兵ヱの仲間・笹山が,
    いきなり襲いかかってくる。
    新十郎は,かがりとお千佳に先へ舟の渡し場へ行って待っているよう申し向け,
    笹山と格闘。
     
    ちょうどその頃,川止めが解けた。
     
    宿から出て来た女子(オナゴ)姿のかがりに,番頭は驚く。
    お千佳とかがりは番頭に駄賃を払って挨拶し,船着き場へ向かう。
     
    新十郎の行く手には,コケにされてカンカンの勘兵ヱが立ちはだかる。
    「一人だけ通る地獄の入り口が待っている」という勘兵ヱは,
    新十郎との死闘の末,入り口を通過して,バッタリ地獄へ堕ちた。
     
    川べりで「舟が出るぞ」と船頭の声がする。
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    風…第23話「地獄の沙汰」

  • 2011-08-25 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第23話…地獄の沙汰
     
    …も,カネ次第。
    新十郎の小唄の響きが粋。栗ちゃまって顔も美しいけど声も素敵。
    なのに…風の主題歌は何故かボワワーンなのが惜しい!
     
     
    (アラスジ)
     
    物価が高騰する江戸市中の経済状況は混迷を極めていた。
    城内幕閣の家老達は老中水野による経済政策の失敗を懸念する。
    中でも水野の責任を声高に叫ぶ安部伊勢守は,
    両替商の信濃屋を通じて贋(ニセ)の小判を彫金させ,
    意図的に市中に流して更なる経済の混乱を招くことにより,
    老中水野の失脚を企む。
     
    (流れ)
     
    新十郎は,物価の高騰する江戸に見切りをつけ,
    暫く箱根へ旅立とうと,茶店で甘酒をすすっていた。
    そこへかがりが来て,新十郎の手荷物の袋を横へ置いて座る。
    そのすぐ後ろに小汚い町人がいたが,
    往来から浪人風の侍が来るのを見た途端,
    金も払わず,いきなり袋を抱えて逃げた
     
    新十郎が甘酒を飲み終え,荷物の袋を手に取ったところ,
    ズシッとした手応が…。袋を開いて逆さに振ってみると,
    大量の小判がジャランジャランと地面に落ちた。
     
     
    番所に行った新十郎は,
    自分の荷物の袋と同じ柄の袋を持ち逃げされ,
    かわりに,小判の入った袋が置いてあったことを弁明するが,
    岡っ引き達は俄かに信用しない。
    そこへ来た左近も,
    「銭を手にして山に逃げるなんざ,おめえらしくねえ」
    と,新十郎の話を信用しない。
     
    そこで新十郎は,左近の前で小判を削り,
    袋の中の小判は贋物で,同じく中にあった削り道具は,
    飾り職人の使う鏨(タガネ)だと説明したうえで,
    贋金(彫金)作りをしていた誰かが,逃げ出したのではないかと読む
    するとそこへ岡っ引きから「殺し」の知らせが入る。
     
     鏨(タガネ)
    ※鋼鉄製の,のみ(金属の切断,掘る,削る際の工具)
     
    彫金(チョウキン)
    ※鏨を使って金属を掘ること。
     
    殺害現場には,新十郎の袋があり,
    左近と一緒に現場に向かったかがりがそれを確認する。
    殺されたのは,「キチ」という飾り職人で,
    左近とかがりは,その男がかつて働いていた職場を訪ねる。
     
    飾り職の仕事もろくにせず,博打ばかりしていたキチは,
    博打仲間にでも殺されたのではないかとのこと。
    しかし,キチの持っていたノミを見た飾り職の親方は,
    削った形跡があることから,
    キチはどこかで飾り師を続けていたのではいかと推察する。
    キチの友人には,村次(ムラジ)という同じ飾り職人がいた。
     
    その村次をはじめ,貞吉や伝造という飾り職人が,
    ある地下室へ閉じ込められ,贋金の彫金作りをしていた。
    そこへ帰って来た浪人の男は,キチを斬ったと村次に告げる。
    怒る村次だが,貞吉は,村次も一緒に逃げようとしていたのではと疑う。
    一方,伝造は,作業場へたまに顔を出す女に村次は惚れているから
    逃げ出すはずはないと言って笑う。
     
    左近の留守中,
    筆頭与力の山崎が直々に調べるという名目で,
    新十郎は奉行所に連れて行かれた。
     
    取り調べというのは表向きだと謝る町奉行の鳥居は,
    風の新十郎を見込んで,
    贋金作りの真相を調べて貰えないかと持ちかける。
    既に老中の安部伊勢守が主犯とみているが,その証拠がなく,
    誰が何処で作っているのか,見当がつかないという。
    しかし,唯一の見当は,お秋という小唄の師匠だという。
    新十郎は,町奉行の依頼を了解し,
    お秋のもとへ稽古に行ったついでに,そのまま居候に入る。
     
    夜分,出稽古に向かうお秋と一緒に出かけた新十郎は,
    途中,野党(町奉行の配下の者による芝居)に襲われたお秋を助け,
    そのままちゃっかり,お秋の家の廊下に泊り込む。
    新十郎は,自分の素性について,
    老中水野の屋敷に盗みに入ったとの事実をあげ,お秋を信用させる。
     
    やがて新十郎は,お秋から仕事を紹介されるが,
    その「仕事場」への行き先までは目隠しをされ,
    駕籠に乗せられ連れて行かれた。
    その間,新十郎は小唄を口ずさむ。
    着いた場所は定かではないが,
    そこは,村次,貞吉,源三が贋金作りをしている場所だった。
     
    新十郎は,小唄の歌詞をつずって四十と五の距離へ連れて行かれ,
    その晩,そこら辺の島に舟が着くことを,予め左近に手紙で知らせる。
     
    お秋は,一八才頃に母親を往来で亡くし,
    偶然その場を通りかかった信濃屋の妾になっていた。
     
    彫金の作業場から逃げようとしていた貞吉だが,
    村次によって秘密の脱出口が暴露される。
    お秋は,新十郎に「仕事」を命じる。
    それを受けた新十郎は,お秋の信頼を得るため,貞吉を張り手で叩いた。
     
    夜分,お秋や浪人達と,ある島へ向かった新十郎は,
    そこで張り込んでいた左近を殺せと命じられる。
    川へ左近達を蹴り落とし,自分の腕を少し斬って刀に血ノリをつけ,
    殺したように見せかけて,更にお秋達を信用させる。
     
    老中水野は弱音を吐き,あと一歩で失脚が成功すると確信した
    安部伊勢守は,明日暮れ六つ,金座(江戸時代の貨幣鋳造機関)へ
    入る本物の小判と贋金をすり替えるよう信濃屋に指示する。
     
    お秋に惚れた村次や,もと侍だったという貞吉から
    彫金作りに至った原因が信濃屋からの借金や,
    お秋からの誘惑だと知った新十郎は,
    信濃屋の用心棒ではなく,風の新十郎だと名乗り,
    伝造が密かに作っていた川に抜ける底穴から,
    逃げるよう急がせる。
    先に行こうとした村次は,
    そこに来た浪人に短銃で撃たれ,川へドボン。
    次いで伝造が撃たれる。
    新十郎は,浪人を斬捨てたあと,お秋のもとへ向かう。
     
    部屋に座していたお秋は,
    心のどこかで自分を引っ張ってくれる人が現れるのを待っていたと,
    本音を告げる。そして開き直ったように,
    出るところへ出て,みんな喋ってやると立ち上がった瞬間,
    お秋の胸に銃弾が炸裂。
    庭先から撃ったのは信濃屋だった。
    新十郎は,その場で信濃屋を斬り,
    「どうせ畳の上では死ねない身だ」と吐き捨てるように言う。
     
    贋金が本物とすり替えられて,金座に運び込まれることを,
    最期に言い残し,お秋は息絶える。
    その場に来た左近に,金座へ行くよう指示した新十郎は,
    不幸なお秋の身の上を思い,その亡骸の前で
    静かに小唄を歌って弔う。
     
    後日,左近は,老中水野から報奨金を貰ったと,往来でかがりに言う。
    その褒美の金を新十郎に渡そうと探していたが,
    かがりによれば,新十郎は暫く小判を見たくないとのこと。
     
    その頃,新十郎は,小唄を歌いながら,どこかの通りを歩いていた
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    風…第22話「狙われた雛人形」

  • 2011-08-24 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第22話…狙われた雛人形
     
    新十郎 「風の新十郎はね,今までこうと思ってやり遂げなかったことは,
    一度もねえんですよ,安心していなさるがいい」
     

    (画像はこのお話とは別)

    ※お内裏様とお雛様…雛人形一対が入った箱の争奪戦。
     
    どうでもいいけど,箱があっちゃこっちゃの手に渡るたび,
    もの凄く大揺れしていたから,実際だったら,あの箱ン中にある
    雛人形,開けたら首とかモゲちゃってボロボロ…(-_-;)…とかね。
    なにしろ,放り投げるワ,落すワ,飛ぶワ,ユスルワ…の雛人形箱。
     
    新十郎は,この話ではほぼ脇役だけど,上の文言どおりエエとこ取り。
    甲賀忍法を私利私欲の金儲けに使う長尾十四郎(悪役)の夏八木勲さんが
    目立っていた。新十郎より強そうな凄腕で,流れるような殺陣がビシッと決まってて流石といった感じ(^^ゞ。もう一回,出てきても良さそうな悪役ぶりだった。
















    (アラスジ)
     
    中山道を早馬で駆けて来た若武者姿の娘が,何者かに襲われ落馬した。
    そこへ落ちた手荷物ほどの箱を拾いに来た覆面の侍がひとり。
     
    侍が箱の中から雛人形二体を取り出して確認していたところ,
    盲目のふりをした甲賀忍法崩れの長尾十四郎が来て侍を瞬殺し,
    雛人形の箱と馬を奪い去り,一路,江戸へ向かった。
     
    娘が倒れているところへ,偶然,旅姿の新十郎が通りかかる。
    盗まれた雛人形は,将軍家より岡部藩が拝領した,徳川二代将軍時代の由緒正しい代物であり,明日,岡部藩江戸上屋敷において行われる将軍家息女を招いた雛祭りに必ず用意しなければならず,岡部藩の家老の娘・眞弓が,雛人形を江戸へ届ける任務を負った。
     
    雛人形を送ることを知っていたのは,
    藩主と眞弓の父のほか,江戸上屋敷にいる留守居役のみだという。
    当日,雛人形を献上する約束を反故にすれば,藩主は責任を問われるばかりか,財政の苦しい折,何か事があれば藩を取り潰そうとする公儀から既に目をつけられている岡部藩にとって,その浮沈に関わる重大亊だと,途方に暮れる眞弓。
     
    新十郎は,ひとまず自分の住まいに眞弓を連れて行き,
    雛人形を取り戻すため,岡部藩の江戸留守居役・神谷半兵衛を探る。
     
    早馬で町へ来た重四郎を目撃したかがりと,
    あとでその「馬の落し物」を拾った左近は,
    神谷重四郎が出入りする家を探し当てる。
     
     
    江戸留守居役
    ※江戸藩邸で幕府や諸大名との交際行事を取り仕切る役
     
    大目付
    ※江戸幕府の役職で,諸大名監視する監察官
     
     
    (流れ)まとめる関係で,ちょっと順不同。
     
    神谷半兵衛は,大目付の土屋紀伊守と結託し,
    三月三日に行われる将軍家息女の雛祭りの際に雛人形が紛失したことを以て,岡部藩を取り潰しに導いたあと,代官職に昇格する目的のもと,雛人形を事前に盗むよう,家来に命じていた。
     
    この秘密を知る長尾重四郎は,中山道で神谷の家来が眞弓から雛人形を奪う前に殺害し,自らが雛人形を手中に収め,
    神谷に対し,金(五千両)を強請する(ユスる)。
     
    雛人形の箱は,重四郎の馴染みの女・お銀の家に置いてあった。
    重四郎が神谷を強請りに行っている間,お銀が箱を持ち出し,
    大目付の土屋のもとへ雛人形を提供する。
    お銀は,かつて牢に入れられた際,
    土屋のおかげで解き放しの世話になっていた。
     
    神谷の屋敷から出て来た重四郎は,
    刺客に差し向けられた神谷の家来達に襲われる。
    が,ひとりを残して皆,返り討ちにし,その場を立ち去る。
    程なく重四郎と出くわした新十郎は,
    殺気を感じて,思わず身をかわしたあと,
    行く先に侍達が斬られているのを発見する。
    中山道で斬られた侍の傷と同じ,鋭い太刀筋を見た新十郎は,
    たった今,すれ違った男の仕業だと確信する。
     
    新十郎が留守の間,
    たまたまオナゴ姿で住居を訪ねたかがりは,
    そこに礼儀正しく鎮座して新十郎の帰りを待っていた眞弓の姿を見て
    動揺する。
    眞弓から「新十郎の世話になっている」という言葉を聞くなり,
    大嫉妬したかがりは,二度と新十郎には逢うなと言い,家を飛び出す。
     
    神谷は,大目付土屋の屋敷を訪れ,雛人形がそこにあると知り驚くが,
    当初計画した「岡部藩を潰して天領にした後,代官に就く」という目的通りに事が運ぶことを,土屋のお墨付きで期待していたところ,
    ちょうど屋敷に忍び込んでいた新十郎が,その策謀を聞いて姿を見せ,
    床の間に置かれた雛人形の箱を奪って逃げる。
    屋敷の追手がかかる中,お人形の箱を持って片手が塞がっているため,
    思うように身動きがとれない新十郎は,脱出に難航。
    (サーチライト?で目くらましもアリ)
    と,そこへ,甲賀忍者で,かがりの養育係だった「源爺い」が助けに入り,新十郎は,無事,脱出する。
     
    その頃,お銀は,家に戻ってくつろぐ重四郎に,
    雛人形は空き巣に盗まれたと説明するが,
    それが嘘だと完全に見抜かれる。
    重四郎に髪を斬られて脅されたお銀は,
    雛人形は大目付の土屋の屋敷にあると白状する。
     
    土屋の屋敷へ出向こうとする重四郎の前に,
    オナゴ姿のかがりが通りかかる。
    既に雛人形は,風の新十郎が盗み出したことを伝えるかがりは,
    こともあろうに,「綺麗な武家娘と一緒だ」と余計なことまで言い,
    新十郎の所在を教えてしまう。
     
    雛人形は,新十郎の住居で待っていた眞弓の手に戻った。
    新十郎は,岡部藩の獅子身中の虫が神谷であると忠告する。
    一刻も早く,その晩のうちに雛人形を届けたいという
    眞弓の意向を聞いた新十郎は,早速,駕籠屋を呼びに出て行った。
    思いを寄せる殿様の穏やかな顔を想像しながら安堵する眞弓の前に
    忍び姿で獲物を狙う重四郎の顔があった。
     
    新十郎が駕籠屋を呼びに行っている間,
    眞弓と一緒に雛人形は重四郎に奪われてしまう。
     
    かがりは,新十郎が見知らぬ女といたことに我慢できず,
    嫉妬から悔し紛れに雛人形の行方を重四郎に教えてしまったと,
    源爺に告白する。
    源爺は,重四郎が甲賀忍法を己の私利私欲に使うことを見逃せず,
    わざわざ始末をするため江戸へ出て来たが,
    思わぬところで,かがりのヘマを知り,呆れつつも,彼女を慰める。
     
    尼姿となったお銀は,その後も重四郎の動向を追い,
    憎しみから彼を殺そうとするが,逆に斬られて絶命する。
    お銀の悲鳴を聞いて駆けつけた左近は,
    重四郎の行き先を調べ,新十郎に報告する。
     
    眞弓は藩主の安部摂津守を慕っていたが,
    神谷もまた,眞弓を気に入っていた。
    それを知る重四郎は,再び神谷の屋敷を訪れ,
    二度めのユスリにかかる。その際,
    眞弓というオマケ付きで,先に要求した倍額の一万両を提示する。
    約束に反した場合は,雛祭りの当日,
    眞弓を岡部藩江戸屋敷へ連れて行き,神谷の企みを公にするという。
     
    重四郎の要求に応じた神谷は,即刻,家来に金の支度を命じる。
    ところが,裏では,引き渡しの場で重四郎を抹殺すべく,
    小銃の準備のほか,当日,刺客の面々を配備するよう手はずを整える。
     
    その晩,神谷の屋敷に忍び込んだかがりと源爺は,
    見張りを眠らせ,土蔵に用意してあった箱から小判を持ち出し,
    そこにある小銃に細工をする。
     
    翌日,約束の場所に眞弓を連れて重四郎が現れた。
    神谷は供の侍達を引き連れ,金を用意したことを告げる。
    重四郎が茂みに伏せていた伏兵(刺客達)に気が付くや,
    刺客達は一斉に襲いかかる。
    が,重四郎はこれを返り討ちして一掃する。
     
    刺客を手配したのは自分ではないと言う神谷のことを
    特に責め立てもせず,重四郎は余裕で金の要求を続ける。
    神谷は小判の入った箱の中身を重四郎に見せる。
    が,中は石ころばかり。
     
    焦った神谷の前で,重四郎は,事前に申し渡したとおり,
    約束を反故にされた以上,眞弓を連れて江戸屋敷へ乗り込み,
    事を公にすると告げる。
    悪事が明るみにされては困る神谷は,
    小銃を持って待機していた家来に,
    眞弓もろとも重四郎を始末するよう指示する。
    しかし,撃ちにかかった侍達の銃は,一斉に暴発。
    その隙に,眞弓の身は,くるりと縄に巻かれて
    重四郎から引き離される。
    縄を木の上から引っ張っていたのは新十郎だった。
     
    新十郎 「お待ちかね,風の新十郎だ。
          二人とも,どうやらこれまでってところだな」
    (※このセリフのとおり,あんまり出番がなかったの)
     
    逃げようとする神谷の背に,重四郎の投げたドス(短刀)が,
    ドスッと突き刺さる。
     
    重四郎は,新十郎のカラクリを見事だと褒め,
    「いずれ決着はつける」…と,ひとまずその場を去ろうとしたが,
    お銀殺傷の罪状などを指摘した新十郎は,
    「俺が見逃しても,見逃さねえ旦那がいるぜ」
    と,指笛で左近達に合図を送る。
    それを聞きつけた左近ら町方の手配の者が,重四郎の周りを囲む。
    やばくなった重四郎は,雛人形の箱の紐を口にくわえ,
    木から木へと逃げる。
    (ブランブラン揺すられて…お人形,大丈夫…?)
     
    重四郎が着地した場所に,源爺が先回りして待っていた。
     
    源爺 「先祖代々受け継いできた甲賀忍法を,悪心をもって用いる時は
       天の裁きが下る! この年寄に引導を渡されるのが,
       せめてもの情けと思え!」
     
    こう告げて闘いを挑んだ源爺だが,手強い重四郎を相手に苦戦する。
    かがりもそこへ来たが,源爺に「手を出すじゃねえ!」と言われる。
    が,それを無視こいて手を出したのが新十郎。
     
    新十郎は,みだれ八相の構えから,重四郎の太刀をかわし,
    一撃のもとに倒した。
    (天の裁きを実行したのは横からフイッと出て来た新十郎)
     

    重四郎の手から,雛人形の箱が,ボトガタッと落ちる。
    しかも,箱を蹴散らすように重四郎が倒れ…また箱がゴロバキゴキッ!
    (すんごい音が!…お人形,壊れちゃってるかも…みたいな!(^^)!)
     
    新十郎のもとへ眞弓が駆け寄ろうとする。
    と,かがりが前にズイと出てきて遮りつつ,
    早く殿様に人形を届けるように言う。源爺,思わず笑う。
    (ま~だ嫉妬しとるぜ,かがり(~o~))
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    風…第21話「誰がための仇討」

  • 2011-08-23 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第21話…誰がための仇討
     
    ※この話では,封建社会で差別を受けた男の欲望と悪業が描かれている。
    極端な善悪の豹変とは違い,人間の心理的葛藤と行為の短絡さが焦点。
    おしまいに感想あり。
     
    全然関係ないど,恋夜,ちょうど歯医者さんで麻酔かけて
    歯の根っこの半分を引っこ抜いた関係で痛みもあって
    あんまり無理できないから,今回は,話も重いし,
    細かい流れは省略して,ザザッとまとめるだけ。
     
     
    (アラスジ)
     
    ほろ酔い加減で夜道を歩くチンピラヤクザの五助と孫作が,
    向かいから散歩してきた浪人の小野数馬に,「いい女を紹介する」
    と,しつこく誘っていたところ,
    いきなり抜刀した数馬に,五助は斬り殺されてしまう。
    続いて孫作も斬ろうとする数馬を,
    背後から来た新十郎が,やめるよう呼びとめる。
    数馬は,おとなしく引き揚げた。
    腕の立つ数馬には妻がいたが,同時にお菊という遊女とも馴染みだった。
    数馬には,妻しずかの兄を殺した渡辺文左衛門を探し,
    仇討ちせねばならないという事情があったが,
    毎日特に相手を探す素振りもなく,
    しずかから金をせびっては,お菊と遊ぶために使い,
    やがて金の都合に困ると,
    質屋を殺して百両もの金を奪い,お菊を身受け(妾に)するなど,
    仇討とは名ばかりの自堕落な生活をしていた。
    そんなしずかの家の惨状を,偶然通りかかって知った新十郎は,
    数馬の動向を陰ながら追う。
    質屋が殺害され,金が奪われた事件で,左近やかがりも数馬を探る。
     
    (まとめ)
     
    しずかの兄を殺したのは,小野数馬だった。
    行方不明となっていた「仇討の相手」である渡辺の死体が発見され,
    その刀傷を見たしずかの父・斎藤巳之助は,
    かつて斎藤道場でも屈指の腕前だった数馬の邪剣の仕業だと見抜き,
    亀山藩の侍数名とともに,しずかの家を訪れる。
     
    しずかの兄が殺された経緯は,
    「渡辺文左衛門が,酒の上の口論で殺した」のではなく,
    しずかを好いていた数馬が,婚姻の了解をしずかの兄に申し入れたところ,
    身分が違うことを理由に拒否されたことが原因だった。
    しずかの兄を闇討ちにし,それを渡辺文左衛門の仕業にするため,
    渡辺まで殺して埋めた。
     
    しずかの父斎藤巳之助は,数馬を討とうとするが,
    老骨の身では太刀打ちできない。
    そこへ来た新十郎が数馬と刀を交えるものの,
    しずかが身を呈して止めだてする。
     
    お菊は,かつて惚れていたヤクザの五助が数馬に殺されたことを知り,
    それまで誰かに殺されたと嘘をついていた数馬を「人殺し」と責める。
    数馬に放り倒されたお菊は,世をはかなんで川へ身投げし,命を断った。
     
    数馬は札差屋※用心棒に月五両で雇われたが,
    店に来たチンピラヤクザの孫作と結託し,
    手代を殺して蔵にあった千両を強奪する。
     
    「※札差屋(フダサシヤ)」とは、江戸時代,
    御家人や旗本に支給される米の受け取りや運搬,
    売却で手数料を取る仲介業者で,受取人の名を記した札を,
    蔵役所の藁苞【ワラズト】に差したのが,その名の所以。
    その他,蔵米を担保に高利貸しをして莫大な利益を得た。

    左近は,数馬の悪行の動向を知る新十郎に,
    これ以上野放しにはできないと告げる。
    「仇討」を遂げたあと,罪を償わせようと思っていた新十郎だが,
    既に数馬と,しずかの間に仇討の目的はなく,
    父斎藤からは,数馬を斬ってくれと頼まれる。
     
    新十郎は,数馬に果たし状を送る。
     
    金を奪い,荒れ寺で大騒ぎする孫作達をヨソに,数馬は独り酒を飲む。
    やがて,新十郎の待つ場所へ向かう。
     
    二人は刃を交えて対峙する。
    数馬は新十郎を水野越前の手先だと指摘する(なんで知ってんだ?)。
     
    新十郎  「もし,手先だとしたら?」
    数  馬  「武士の身分を固定してしまった徳川の味方であり,
            貴様こそ,俺の真の敵だ」
     
    身分制度を確立して差別の根源を生んだ徳川幕府を憎む数馬は,
    新十郎に対し,「水野越前の手先,二束の草鞋と言われて悔しくないか」と
    更に罵る。
     
    しかし,新十郎は,悪に身を堕とした数馬の剣の腕を惜しむ。
     
    打撃を受けて刀を落した数馬は,「殺せ」と言うが,
    新十郎はなお刀を拾わせて闘いを続ける。
    (「懺悔」の賛美歌が流れ…画面にキラキラが…アーメン・ジーザス…)
     
    結局,数馬は新十郎に斬られる。
     
    死に際に数馬は,
    しずかの兄が,身分の低さを理由に反対さえしなければ,
    こんなことにはならなかったと言い,
    妻のしずかを心から愛していたこと(じゃあ,お菊さんは一体…(-_-;)?)
    身分の低さを剣の道で補えば,しずかを嫁に貰えると思い,
    精進してきたことを振り返り,
    「おまえが武士の娘であることを恨む」
    と,その身分の違いを最後まで嘆きながら一生を終えた。
     
    数馬の亡骸は,左近によって,しずかの家に搬送された。
    斎藤は,「死んで家紋の汚れを糺せ」と,しずかに命じる。
    しかし,しずかは,生きて数馬の墓前を弔いたいと願う。
    その願いを封じ,父は娘を刺した。
    しずかは,数馬の上に折り重なるようにして息絶えた。
     
    かがりからその経過を聞いた新十郎は,数馬の最期の言葉を
    しずかに伝えたかったと惜しむ。 

     
    (感想)
     
    しみったれた浪人暮らしの風景に流れる生活音が独特
    (ちょいとウルサかったけど,生活臭さをより強調していた)。
    抜刀シーンで賛美歌と後光が流れて輝く映像が時代劇にしては異質だった。
     
    もともとは純粋な愛情を求め,純粋に精進していた精神が,
    身分階級の差別によって捻じ曲げられ,次第に踏みつけられ,
    そのうち枯れ枝の根っこのように腐りきって曲がってしぼんで,
    自ら悪臭を放つような,極悪で自堕落極まりない悪魔に変わっていった。
    そんな男でも,過去には理想も夢も希望も愛も根性もあった…
    というのが,悲惨で哀れ。
     
    単なる「もとからワルでした」というものではなくて,
    その生き方を,環境や周囲の人間のせいにばかりしていたことが,
    致命的な悪の根を生んでしまった原因で,
    その根が伸びた環境に生きる人達までも
    不幸に死なせてしまうという,
    負の連鎖が痛々しい。
     
    罪を憎んで人を憎まず…といった感覚を最後に残そうとしている。
    それはいいとしても,ちょっと悪の所業が極端に酷すぎて,
    あとから善人要素をフォローしきれない感も…。

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    風…第20話「小指のない武士」

  • 2011-08-22 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第20話…小指のない武士
     
    ※今回は,オーソドックス路線スジだから,デキスギでも文句なし。
    幼児に好かれる新十郎おじちゃん,恋夜も頭ナデナデして貰いたいな。
     
    (アラスジ)
     
    寒中の晩,屋台のオヤジ・源三が,辻斬りによって殺害された。
    覆面をした辻斬り犯には小指がなく,
    同道した仲間から「師範代」と呼ばれていた。
    この目撃証言をもとに,新十郎と左近,かがりは辻斬りの犯人を探す。
     
     
    (流れ)
     
    源三の殺害現場を目撃した講談師の一龍齋玉竜によれば,
    辻斬りした男には小指がなく,
    傍にいた者から「師範代」と呼ばれていたという。
    殺された源三は,娘・おきみが風邪のため,
    代って屋台を出していた矢先,運悪く辻斬りにやられた。
    おきみには,幼い息子「よし坊(よし太郎)」がおり,
    その亭主は,三年前から行方知れずとなっていた。
     
    十日前から同じ長屋で暮らしていた新十郎は,源三の死を悼み,
    辻斬り犯の手掛かりを探りにかかる。
     
    さしあたり,「天然天道流 山城道場」へ出向いた新十郎は,
    道場破りを装いながら,いとも簡単にそこの師範代を叩き伏せる。
    そのあと対峙した道場主の前では,
    「梅木 サクベエ」という偽名を名乗り,
    竹刀を構えはしたものの,いきなり「参った!」と降参し,
    道場主のメンツを潰さぬよう,わざと負けた。
    道場主もそれを察し,暗黙の了解でホッとする。
    表向きでは,以後,懇意に…などと丁重に挨拶する一方,
    裏では,道場主から謝礼が支払われるという,
    よくある腕の立つ貧乏浪人などが道場破りをして金銭を得る定番の方法を使い,
    新十郎は道場主に恩を売る。
     
    一方,左近も,「小指のない師範代」の手掛かりをかがりから仕入れようとするが,道場数も多く,いちいち立ち会うわけにもいかないと,かがりも困惑気味。
    辻斬りは,金銭目当てではなく,単に刀の試し斬りが目的だと睨んだ左近は,
    大名や旗本筋を調べるようかがりに要求し,
    自身が無念流の免許皆伝であることを自慢する。
     
    辻斬りのことを講談のネタにして周囲の者に話していた玉竜は,
    そこに来た編笠の浪人から,「小指のない男」について尋ねられる。
    今の話を聞いていなかったのかと玉竜が文句を言うと,
    浪人はすぐ立ち去った。
     
    長屋へ戻った新十郎は,道場破りの真似ごとで得た金を,
    源三の葬儀代や屋台の修理に充てるよう,おきみに渡し,
    その幼い息子「よし坊」にも風車をあげるなどして可愛がる。
    温情に感謝するおきみだが,亭主が何処にいるのか事情を訪ねても,
    詳細を語ろうとはしない。
     
    ちょうどそこへ,山城道場の門弟達が道場破りをされて
    「メンツが立たぬ!」と押しかけてくる。
     
    そのまま山城道場へ出向いた新十郎は,
    門弟達の不始末に謝る道場主に対し,
    自分の正体が「風の新十郎」であると正直に明かしたうえで,
    辻斬りをした「小指のない師範代」のことを知っていたら
    教えて欲しいと頼み込む。
     
    新十郎を只者ではないと思い,様子を窓の外から見ていた玉竜は,
    その正体を知って納得する。
     
    やがて山城の道場主から,「一真流 岡野道場」に,
    「小指のない師範代」がいるとの情報が入る。
    先にこの道場に目を付けたのは左近だった。
    門弟を倒した左近の次なる相手は,師範代の吉川という男だった。
    左近は,吉川に小指があることを確認し,眉をひそめる。
     
    その頃,奥の座敷では,岡野道場の主が病気で伏せっていた。
    道場の後継者候補となる師範代には,吉川と辻野がいた。
    辻野は,吉川より遅れて道場の門弟となったが,
    剣の実力は吉川以上であることを自負しており,
    ゆくゆくは道場主の娘・小夜を妻に貰い受け,
    自分が道場の後継者になろうという野心があった。
     
    医者への支払いも滞るような岡野の窮状を知る辻野は,
    自分を岡野道場の後継者にすれば,後ろ盾もあるため,
    心配はいらぬと言って頼み込む。
     
    弱みに付け込む辻野の申し出に対し,岡野は返答を渋り,
    道場の後継者は,娘小夜の選択次第だと告げる。
    すると,辻野は,そこへ来た小夜に対しても,
    自分が道場主になって必ず幸せにするなどと約束するが,
    小夜は辻野ではなく,吉川のことを思っていた。
    その話の最中,吉川が「道場破りに来た者」に負けたとの知らせが入る。
    辻野は,吉川より自分の実力が上であることを証明するため,
    ここぞとばかりに道場へ出向く。
     
    そこで待っていたのは新十郎だった。
     
    竹刀を構えた新十郎は,辻野の小指が無いことを確認する。
    その異様な殺気に,辻斬りの犯人は辻野ではないかと察した新十郎は,
    勝負にわざと負けるが,
    その後もなお執拗に撃ち込んで来る辻野の目つきや態度を冷静に観察する。
    それを窓の外から見る編笠の浪人がいた
     
    辻野より撃剣の実力に劣る吉川は,
    岡野道場を継ぐだけの度胸が乏しかった。
    小夜は,そんな吉川と一緒に道場を捨てて出て行っても良いと言うほど,
    吉川のことを好いており,吉川もまた小夜を好いていた。
     
    その晩,岡野道場に忍び込んだかがりは,
    辻野の寝所に置かれていた刀身に脂が残っているのを確認する。
    部屋を出て間もなく,辻野に気付かれたかがりは,小夜の部屋に入り,
    老中水野の印籠を見せて安心させる。
     
    吉川と小夜の会話を聞いていたかがりは,
    度胸のない吉川を発奮させるため,小夜に家出を勧める。
     
    小夜は,新十郎のいる長屋へ滞在することになったが,
    吉川は辻野から,小夜を何処へ隠したのかと聞かれ,
    そんなに自分を道場の後継者にさせたくないのかと問い詰められる。
    岡野からも,良く考えるよう言われる吉川。
     
    風邪も治ったおきみは,夜分,屋台を引いて商売を始める。
    そこへ来た新十郎も彼女の手伝いをしようとするが,
    と,いきなり辻斬りが現れ,襲いかかって来た。
     
    おきみを守る新十郎の姿を,物陰から見る編笠の浪人がいた。
    その浪人に気付いたおきみは,じっとそちらを見つめる。
    浪人も暫しおきみを見つめるが,やがてその場を立ち去った。
    新十郎は,おきみの背後から,その様子を見ていた。
     
    浪人と同じ酒屋に入った新十郎は,
    「辻斬り狩りか」と声をかけ,おきみの亭主・西村ではないかと尋ねる。
    やや狼狽した浪人は,不愉快だと言って外へ出て行ってしまう。
     
    津山藩へ出向いた辻野は,試し斬りの刀を返していた。
    辻野は,津山藩召抱えの指南役となる待遇を
    同藩の家老から内密に約束されていたが,
    それにはまず,岡野道場を継ぐことが前提条件だった。
    辻斬りをしたのも,津山藩の家老宅にある刀の試し切りが目的だった。
     
    辻野と吉川は,道場主立会いのもと,
    正式に師範代を決めるべく,試合をすることになった。
    そこへ小夜も駆けつける。
    押され気味の吉川だったが,道場の窓から様子を見ていた玉竜は,
    吉川の危うい場面で「辻斬り剣法!」と叫ぶ。
    一瞬,辻野の竹刀が止まった隙に,吉川の小手が決まり,
    勝敗は決した。
     
    道場を出る辻野の前に現れた新十郎は,
    「真剣なら勝っていたな,次は真剣でやるといい,賭けてもいいぜ」と,
    意味ありげに告げて去る。
    そのとき,物陰から辻野を討とうと意気込む西村がいた。
    新十郎は,今行けば返り討ちになるだけだと言って止める。
     
    西村は,三年の間,父親の仇討の相手を追いかけていたという。
    自分の子供の顔も見ずに旅立って以来,仇討をするまでは
    おきみや子供のもとへは帰れなくなったという西村。
    自分が死んだら,おきみと子供を頼むと新十郎に申し入れるが,
    「甘ったれるんじゃねえ!」と,西村の頬を張り倒した新十郎は,
    「報われない努力を続けてきた,おきみのこれまでの辛さを考えろ!」と言って,
    仇討のお膳立てをすることを約束する。
     
    やがて,かがりの調べにより,辻野の正体は,
    西村の仇討の相手であることが判明する。
     
    おきみのもとを訪ねた新十郎は,気休めではなく
    「そのうち,いいことがある」と言って別れの挨拶をし,
    長屋を出て行くが,新十郎になついていたよし坊は,
    「行っちゃいやだ!」と,そのあとを追いかける。
     
    後日,辻野は,吉川に真剣勝負による決闘を申し込む。
    道場主の岡野は,真剣勝負では吉川は辻野に勝てないと見ており,
    それを聞いて困った小夜から果し状を見せられた新十郎と左近らは,
    勝負の場へ急ぐ。
     
    吉川と辻野の真剣勝負は始まっていた。
    辻野の殺人剣を受ける吉川。しかし,その実力の差は大きく,
    勢いその場に転んで危うくなる。と,そこへ新十郎達が駆け付ける。
    辻野は新十郎と立ち会い,喉もとに刀を受けて寸止めされる。
    腰くだけになったところで,左近が辻野に縄をかけようとするのを新十郎が止め,そこに来た西村に仇を討つよう申し向ける。
     
    前に進み出た西村は,一刀のもとに辻野を倒した。
    しかし,長年の歳月をかけて果たした仇討の実感は,
    西村にとって虚しいものでしかなかった。
     
    その後,長屋のおきみのもとへ帰った西村は,よし坊と対面する。
    父親の顔も知らずに育ったよし坊には,
    目の前の男が父だという実感がまるでなく,
    西村がコマを渡そうとしても,傍に寄りつこうとしない。
    ふと,玄関の隙間から新十郎の姿が外を通り過ぎるのが見えた途端,
    よし坊は一目散に新十郎のあとを追いかけて行く。
    往来へ駆け出して来たよし坊は,「おじちゃーん!」と何度も叫ぶ。

    その姿を陰で見つめる新十郎は,少し頬笑んだあと,
    声をかけることなく,その場から去って行った。
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    風…第19話「素晴らしい明日」

  • 2011-08-21 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第19話…素晴らしい明日
     
    ※ツッコミきれないほどシナリオの構成がメチャクチャッ!<(`^´)>!
     
    (アラスジ)
     
    老中・水野越前守は,隠密達が一人も帰還しないことから
    仙台藩の伊達・加賀藩の前田・薩摩藩の島津が同盟して,
    幕府転覆の謀反を起こす恐れのあることを察し,
    新十郎に,その証拠を掴むよう依頼する。
    大藩が結託して謀反を起こせば,戦になることは必至であるため,
    新十郎は水野の依頼を受け,早馬を飛ばし,単身,加賀藩へ向かう。
    水野の命令を受けたかがりもまた,その動きに加担する。
     
    (流れ)
     
    加賀藩主・大西将監(ショーゲン)の屋敷に忍び込んだ新十郎は,
    大西が所持していた「将軍日光東照宮参拝の折を狙い,謀反を起こす」
    との連判状を奪い取る。

    (忍びの極秘任務なのに,頬かむりのサラシがやけに派手…顔がモロ見えなのも有り得ない,しかも黒い着流し姿のまま忍び込んでいるという不自然さ。連判状の偽物を掴まされたのを知ってから,逃げる前に,そこに置いてあった大黒様の瀬戸物人形を手に取って庭先へボカンと投げたら,本物の連判状がコロッと出て来るとか…なんでそこにあるの知ってンネン(`´)!…もう,有り得ない!の連続(-_-;)…だから敢えてここは省略ネ…ンプ!)
     
    屋敷に集まる追手を逃れ,大西の娘・しのぶの部屋に入ったのを機に、
    (この娘が嫁入り前だってことも…なんで新十郎が知っンネン(`´)!)
    しのぶを盾にして進む新十郎は,
    (しなくても,この人の実力なら,切り抜けられるんじゃ…?)
    庭先を脱出する際,大西に短銃で狙われる。
    が,そこへ来たかがりが煙弾を投げた隙に,二人は脱出する。
    (風の新十郎なら,かがりの助けがなくても脱出しろ!)

    大西が刺客として差し向けたのは,その息子・竜之介と,
    娘しのぶの許婚である望月兵馬,
    そして同藩の仲間である間英之進をはじめとする若侍数名のほか,
    「新十郎を討てば上役に取り立ててやる」と大西から約束された
    身分の低い郷士の一郎太(大西家の下僕家来)だった。

    しのぶの許婚・望月兵馬は,身分が低いくせに腕の立つ一郎太を良く思わず,
    新十郎を討ったあとで殺してしまおうと,事前に仲間内に話しかけていた。

    新十郎とかがりは夫婦姿に変装し,
    途中,旅芸人一行にまぎれて関所を通過しながら江戸へ向かう。
    (やたら,のんびり(?_?)…普通は早馬か早飛脚で,証拠を水野に届け…って
    ソレやったら,この話はパー? かがりは「オナゴ姿」に変装したままだし,
    新十郎は,薄手の着流しという軽装で,笠もかぶってないという無防備すぎるカッコ…この軽装が後々アダとなるよう意図的に作られている。)

    旅芸人一座と別れたあと,新十郎とかがりの行く手に,
    「はやてノ吉」というケチな盗人が現れる。
    このコソ泥は,新十郎が加賀藩の屋敷に侵入したことを知っており,
    懐に何やら大事な物を隠し持っているに違いないと目を付け
    (なんでそんなこと知っとるネン!(`´)!
    陰ながら新十郎達の跡をつける途中,
    侍(刺客)達を見つけ,追手が来たと察する。
    (侍一行を見ただけで,なんで「加賀藩の追手」だとわかるネン!
    しかも,いつの間にか,追手と新十郎達との距離が,
    とんでもなく近くなっとるし(`´)!
    普通,密書持ってノホホンと関所なんか通らんぜ!)

    はやてノ吉は,刺客の急襲から逃れた新十郎達の行方を追い,
    その動きを内通して金儲けに変える。

    新十郎とかがりは,とある旅籠で連判状の中身を確認する。
    水野の不安どおり,
    そこには大藩連盟での謀反決起を記す内容が記されていた。
    ふと,かがりが窓の外を見ると,向かいの旅籠に刺客達がご来訪。
    ここで,刺客の面々を見てもいない新十郎が,
    「追手の5人から脱落して逃げたのは、大西将監の息子だ」と言う。
    (…なんで知ってンだッ(`´)!

    大西の息子・竜之介は,恐れをなして,加賀藩の屋敷へ逃げ帰る始末。
    父の叱責を受けた竜之介は,そこにいた妹しのぶに対し,
    下僕の一郎太などは,新十郎を殺したあと,
    望月兵馬に斬られてしまう運命だと告げる。

    刺客の若侍達は,行く先で新十郎に襲いかかるものの,
    (フラフラ歩いて,すぐ見つかって襲われる・・この展開が変!)
    腕の違いから倒すことができない。

    やがて,しのぶが駕籠に乗って訪ねて来た。
    そこへ,ふらりと新十郎が姿を現し,刺客(許婚)達のもとへ案内する。
    (なんで藩の娘が,ひとりで来るネン(`´)!しかも,どうして行き先がわかるネン!で,着いた早々なんでそこに新十郎が「お嬢さん」なんつって呼び止めに出て来ンネンッ!しかも「知ったか坊主」のトドメはこのセリフ。

    新十郎「あいつらの中に,おまえさんの許婚がいるんだな?
         しのぶさん,俺はあんたの持っている物の中身が知りてえんだ。
         大西将監からの手紙だろ?」

    もうここまでくるともう絶句(T_T)…ドーチテソンナコトシッテンダヨー!
    シーンが全然ないうえ,遠方から来た人物がナニ持ってきたか知ってるという
    (`´)。いつから新十郎サンは超能力者になったんやろか~?ってな感じで,
    不自然極まりないし,無理矢理クサいの鼻血はなはだしすぎ!)
     
    そこへ短刀を持った一郎太が新十郎に突進する。
    (なんでこいつだけ来たネン( 一一)?)
    新十郎に軽く避けられた一郎太を見て,止めに入ったしのぶは,
    一郎太に振り払われ,石塔へ転ぶ。
    新十郎と対峙するも,しのぶが気がかりで,身が入らない一郎太。
    それを見た新十郎は,刀を鞘に納めて立ち去る。

    しのぶは,内密に,父・大西将監からの手紙を届けに来た。
    一郎太は,しのぶのことを好いており,
    新十郎を殺して上役に取り立てられれば,
    しのぶとの婚姻も許されると思い込んでいる。

    一方,しのぶも,許婚の望月兵馬が,
    罪もない一郎太を亡きものにしようと画策する冷酷な人物であることを知らず,
    父親の言うなりに婚姻を了解していたことを打ち明ける。

    その後,はやてノ吉は,道中で新十郎達を呼びとめる。
    (まだ軽装でのんびりフラフラ歩いている新十郎とかがり(-_-;)?
    追手がかかるだろうから,懐の物を預かりたいと申し出るが,
    追っ払われる。その時,ちょうど土手を早馬で駆けて行く侍がいた。
    それを見たかがりと新十郎は,加賀藩の追手だと確認し,
    次の宿場あたりで,刺客に救援隊が加勢されると読む。
     
    新十郎達がその晩,荒れ寺で野宿するという情報を、
    はやてノ吉から,聞いた望月兵馬は,
    夜襲をかけることを仲間に告げる。
     
    加賀藩の刺客らに夜襲された新十郎は,暗闇の乱闘の中,
    懐にしまった連判状を床に落とし(風の新十郎ともあろう者が、
    そんなところに易々しまっとくなんてことないっしょ!( ̄д ̄)!あり得ねえ!)
    そこに居た"はやてノ吉”に連判状を奪われてしまう。

    夜襲に失敗した兵馬は,抜け駆け?した一郎太を大木に吊るし上げ,
    その場を去る。彼らと一緒に、しのぶもその場を離れた。

    あとから現れた新十郎は,なんでフラフラ出てくンねン(--〆)!)
    一郎太の前で,「何故,自分を執拗に斬りたがるのか」と尋ねる。

    貧乏郷士のままでは出世も叶わず,
    好きな女(しのぶ)とも一緒になれない一郎太は,
    「侍になるためだ!」と叫ぶ。

    新十郎は,大西将監の悪の正体…
    即ち密かに謀反を画策して戦乱の世に導こうとしていること…を、
    一郎太に教え,そんな奴らのために侍になりたいのか?と問うが,
    一郎太は信じない。
    それなら…と,縄を斬って一郎太を地面に落とした新十郎は,その場を去る。
     
    はやてノ吉の行き先は,
    「どうせ逃げた先は江戸に決まってる」とみた新十郎は,
    「なんとかなるだろう」と言いながら,
    かがりと共にのんびり江戸へ帰還することに。
    (なんでわかるネン(`´)!しかも重要な連判状を持ち去られてしまったのに)
    特に焦るわけでもなく,その後もぷらっぷらと江戸へ向かっとる…!
     
    二人きりになったしのぶと一郎太は,
    そこで一夜の愛を育む。(ご勝手に)
    翌朝,裏切り者と言われたくない一郎太は,
    新十郎を追ってしのぶと共に江戸へ向かう。
     
    江戸へ戻った新十郎は,町中で左近と出くわし,
    「はやてノ吉」を探して欲しいと頼む。
    するとそこへ,ひとりの町人の男が来て,
    はやてノ吉からの手紙を新十郎に渡す。
    左近は,はやてノ吉が字の読み書きのできないことを知っていたため,
    (なんでそんなことまで知ってンネン…)
    罠ではないかと勘繰るが,なにかの手掛かりになると思った新十郎は,
    呼び出された境内の裏へ向かう。
     
    と,やはりそこには加賀藩の刺客が,ひとりいた。
    しかし,刺客と対峙する新十郎に,どこからか銃撃が浴びせられる。
    流石の新十郎も身動きが容易にできない…が,そこへ,かがりが来て,
    銃撃のおとりとして動く。
    その隙を見て,新十郎は目の前にいる刺客を倒し,
    かがりと共に物陰に隠れる。
     
    短銃を持って隠れていた望月兵馬が姿を現すと,
    自分が新十郎を討つと言いながら一郎太が歩み出て来た。
    (なんで別行動なのに,タイムリーで場所がわかったネン(T_T)?
    望月兵馬は,しのぶを奪って逃亡した一郎太を非難するが,
    兵馬が一郎太を殺そうとしていたことを指摘されるや,
    短銃で一郎太を撃とうとする。が,かがりの手裏剣が銃を弾く。
    途端に兵馬と一郎太は互いに抜刀し,決闘となる。
     
    必死で兵馬を倒した一郎太は,
    そこへ姿を見せた新十郎に挑みかかるが,
    力を使い果たしてフラフラ状態。
    一郎太の剣は新十郎に弾き飛ばされ,身は転がり,刃を向けられる。
    そこへしのぶが駆け付け,一郎太に寄り添う。
    「よォく考えるんだな」と言い残し,新十郎はその場を去る。
     
    その後,偶然,町中で,はやてノ吉と出くわした新十郎は,
    連判状をどうしたのかと聞くが,「川へ捨てた」と返答した吉は,
    そのまま退散しようするが,左近が来て御用となった。
     
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    風…第18話「過去からの呼出し状」

  • 2011-08-19 : 風の新十郎 : 編集✍

  • 第18話…過去からの呼出し状
     
    仇討…がテーマではあるけど,女の子にやらせちゃあねえ…(-_-;)
    お話的には推理モノっぽくて面白かったけど,最後がウ~ム?…でした。
     
    連日35℃~37℃の猛暑の部屋でエアコンもかけずにコレ書いてるけど,
    昨日(18日)の夜は,猛烈に暑すぎたのと疲れでバッタリ…アカ~ン。
    でもバテたわけじゃない…と思うデスらー
    …まだ半分以上あるしね。
     
    (アラスジ)
     
    ある湯宿で湯治休暇中の相川左近は,
    箱根の湯宿で出会った旅芸人の娘・珠江(たまえ)と,
    初老の付き人・吉兵ヱと再開する。
    折からの豪雨で,近くの桟橋が崩落し,
    かろうじてそこを通って来た新十郎は,
    左近のいる湯宿へ辿り着く。
    「傷の具合が悪いため,一度,見舞いに来てくれ」と
    左近からの手紙を貰って湯治場へ来たという新十郎だが,
    左近はそんな手紙を書いた覚えはないという。
    手紙の文字は,女の手書き文字だった。
    湯宿の主人・八右ヱ門はじめ,その妻おしま,
    湯治客の旗本・上坂民部と家臣の服部重蔵,
    同じく湯治客で,大阪から駆け落ちしてきたという,お梅と手代の忠兵ヱ,
    旅芸人の珠江と吉兵ヱ,
    そして汚らしい風貌で粗野な態度の猟師・猪之吉らがいる湯宿で
    殺人事件が次々と起こる。
    いずれも凶器は,源平時代から伝わる古来の武器だった。
    新十郎と左近,そして,豪雨に巻き込まれて到着が遅れたかがりを交え,
    事件の真相を追う。
     
    (流れ)※前提だけ詳細で…あとはガガッとショートカット。
     
    湯宿の主・八右ヱ門は,豪雨で桟橋が落ち,山崩れのために,
    通行ができなくなったことを宿泊客に伝え,それが直るまでは,
    どこへも出られないとのこと。
    暫くは皆,宿に留まることを余儀なくされる。
     
    橋の補修費用などは,八右ヱ門が進んで提供しており,
    今度もまた金を使うらしく,
    八右ヱ門の妻で年増盛りの女将おしまは,
    自分の着物もろくに買ってくれないのに,
    そっちのほうはやけに気前がいいなどとこぼす。
     
    八右ヱ門の部屋で,そんな会話をしている最中,猟師の猪之吉が来る。
    目つきの悪い猪之吉を避けるように,おしまが場を離れたあと,
    猪之吉は,湯治場や附近の山を買い占めて懐温かい八右ヱ門に対し,
    金の無心(融通依頼)をする。
     
    八右ヱ門と猪之吉は昔馴染みであり,
    いわく付きの大金を平等に山分けした過去があった。
     
    猪之吉は,その金を女遊びや博打に使い果たし,
    山で熊や猪を相手にする貧乏猟師に落ちぶれていた。
    対照的に,今の繁栄は自分の甲斐性だと言って厭な顔をする八右ヱ門は,
    猪之吉の申し出を断る。
    この話を,おしまは障子の裏でこっそり耳にする。
     
    湯治客で旗本侍風情の上坂民部と,その家臣風情の服部重蔵の部屋へ
    酒をもてなしに行ったおしまは,
    猪之吉が八右ヱ門をゆすっていると,笑いながら話す。
     
    上坂民部は,八右ヱ門とは昔馴染みらしく,
    猪之吉のことも知っていた。
     
    年増盛りのおしまは,この先も山奥暮らしが続くのはイヤだと言って,
    民部へ自分を貰い受けて欲しいなどと持ちかけ,
    最近,八右ヱ門は,道普請や橋の工事に金を寄付するなど,
    仏心が多くなったと愚痴をこぼす。
     
    そこにいた服部重蔵によれば,八右ヱ門は,
    「世間では徳のある田舎大臣と言われているが,六年前は・・・」と,
    その正体を知っているとばかりに笑う。
     
    左近は,身に覚えのない手紙を見て,その文字が女の文字だと気付く。
    同じ部屋に寝転んでいた新十郎は,かがりの仕業かと推察する。
    宿へ来る途中,かがりの姿をちらっと見かけた…と新十郎は言うが,
    かがりが宿へ来た形跡はない。
     
    そのとき,障子の隙間から銃口が見え,間もなく発砲…。
    咄嗟に身を翻して避けた新十郎と左近は,
    廊下を逃げて行った者を追いかけるが,行方を見失う。
     
    見失った先で,ふと廊下を見ると,頭巾がひとつ落ちていた。
    拾い上げた新十郎は,頭巾から女の髪油の匂いがすることに気付く。
     
    すると今度は,向かいの部屋から女の悲鳴が聞こえる。
    障子を開けた左近は,どうしたのかと声をかけ,
    灯りをつけるよう言ってから中へ入ると,
    部屋には猪之吉と,上方(大阪方面)から来た若い男女の客がいた。
     
    怯える女は,猪之吉がいきなり忍びこんできて,手を握ったと言うが,
    猪之吉は部屋を間違えただけだと居直る。
    新十郎は,冗談半分,その部屋の客の女に近づき,
    髪の香りを嗅いでみるが,先ほど拾った頭巾の香りとは違っていた。
     
    左近は,それまで単なる湯治客を装っていたが,事件が起きたからには,
    十手を見せて,自分が同心であることを明かす。
     

    そこへ来た八右ヱ門はじめ,集まった宿の者達も発砲音を聞いたというが,皆,下手人には心当りがない様子(このとき,珠江の様子が変)。
     
    部屋に戻った左近は,下手人について思いめぐらすが,
    新十郎は,襖を見ながら,
    発砲された銃の弾や穴がどこにもないことに気付く。
     
    翌朝,新十郎は,庭先で洗濯をしている珠江から,
    唐突に,「風の新十郎」ではないかと尋ねられる。
    新十郎の正体を知ったうえで,何か頼み事がある様子の珠江。
    と,そこへ左近が慌てて来て,大阪から来た客(お梅と忠兵ヱ)と,
    猪之吉の姿が宿から消えたとのことで,
    左近は,昨夜のうちに詮議(調査)しておけばよかったと悔みつつ,
    急いで外へ探しに行った。
    (夜のうちに,頭髪の香りを一人ずつ嗅げば,即,発砲した人物がわかったのに,何故かやらない左近ちゃんと新十郎…やったら話が続かない。)
     
    駆け落ちしてきたお梅と忠兵ヱは,左近が同心だと知り,
    連れ戻されては困ると思って逃げた。
    ところが,道端で,何かに足をつまずかせて転ぶと,
    そこには猪之吉の死体があった。
    猪之吉の胸には,新十郎も左近も見たことのない武器が刺さっていた。
     
    そして更に,かがりの死体を新十郎が発見…じゃなくて,
    川で大水くらって流されたかがりは,気絶していただけで,
    その後,宿で大飯食らって元気満々に回復。
     
    上坂民部は,おしまに「石見銀山のネズミ捕り(毒)」を渡し,
    八右ヱ門の暗殺をほのめかす。
     
    新十郎は,その武器を,だるまの目玉に投げつけながら,
    慣れれば女子供でも簡単に的を狙えると左近に言う。
    左近はおしまを怪しむが,新十郎は珠江について聞く。
    左近によれば,珠江は気だての良い優しい娘であるから,
    あんなエゲツない人殺しなど到底あり得ないという。
    しかも,珠江には,どこか上品な風情があり,
    昔は由緒正しい家柄の娘だったのではないかというフシもあった。
     
    新十郎は,洗濯をしている珠江の傍に行き,
    なにか頼み事があったのではないかと聞くが,
    珠江は何事もないと,やや動揺しながら答える。
    新十郎は,珠江の髪に落ち葉が付いていたと言って彼女の前で見せ,
    何気なく香りを嗅ぎ,その場を去る。
    珠江は,ふと,そこに落ちている頭巾を拾い,動揺する。
    空砲を発砲して逃げたことを新十郎に知られた珠江は,
    吉兵ヱと一緒に困った様子。
     
    おしまは,茶に毒を入れようとするが,八右ヱ門に見つかり,
    その逆鱗に触れて殺されそうになる。ところが,
    八右衛門が襖を背にして佇んだとき,背後から何者かに刺されて即死。
    猪之吉と同じ武器が突き刺さっていた。
     
    かがりによれば,殺害に使われた凶器は,
    源平時代から使われていた武器とのこと。
    宿の皆を集めて左近が詮議する中,
    かがりはその武器を家探し,発見する。所持者は吉兵ヱだった。
    どうやら猪之吉と八右ヱ門を殺害した下手人は,吉兵ヱだと判明する。
    吉兵ヱは取り乱し,かがりがその場へバラまいた武器を
    手に取って民部らの方へ投げつけたが,
    それを見た服部重蔵がすかさず抜刀し,
    吉兵ヱを斬ってしまう。
    下手人を斬ったことで左近は憤慨するが,
    服部は,返り討ちにしたまでだと言い捨てる。
     
    一人ぼっちで吉兵ヱの位牌に向かう珠江は,
    泣きながら,過去を振り返っていた。
    珠江は,南国の源平時代から流れを引く御家人の家の娘で,
    六年前,島抜けをして漂流していた猪之吉はじめ八右ヱ門と上坂民部,
    服部重蔵の囚人四人を救けたところ,彼らに家族を皆殺しにされ,
    家伝の砂金を奪われてしまった。
    従者の吉兵ヱと共に,旅芸人に身を落としながら,
    猪之吉らに仇討(復讐)せんと,これまで追いかけてきた。
    ようやく囚人四名を探し出し,家族の仇討をしようとしたこと。
     
    位牌の前で呟く珠江の話を,
    新十郎は障子の向こう側で聞いていた。
     
    珠江は,左近から「風の新十郎」の噂を聞き,
    力を貸してくれるのではと思い,自分が手紙を書いて呼び寄せたと,
    新十郎に打ち明ける。空砲を鳴らして注意を促したのも珠江だった。
    復讐に燃える珠江に対し,これ以上,その手を血に染めてはいけないと,新十郎は止める。
     
    囚人四人とは,猪之吉と,八右ヱ門,そして,上坂民部と服部重蔵であり,その秘密を知るおしまは,民部と服部に無理矢理,納屋へ連れ出され,そこで「夫を亡くして世をはかなみ,首を吊って自害した」かのようにみせかけて殺されそうになるが,新十郎が止めに入る。
    おしまは,民部と服部も,猪之吉と八右ヱ門の仲間で,
    もと囚人だったことを暴露する。
    が,その途端,服部によって斬られてしまう。
    現場を目撃した珠江と新十郎に,民部と服部が襲いかかる。
     
     
    そこへかがりと左近も来て,服部と乱闘となる。
    民部と斬り交わす新十郎は,狭い庭先で踵からつまずきそうになったところを,珠江の凶器が服部の胸にグサッ!…突き刺ささる。
    民部は新十郎が叩き伏せ,あとは左近が縄をかけて一件落着。
     
    その場にしゃがみ込む珠江に,
    新十郎は,よくやったと労いの言葉をかける。
    しかし,珠江は,サッと前に出て,左近に罪の申し出をしようとする。
    新十郎が止めに入り、
    新十郎 「これで親の仇も討てたんだ,吉兵ヱの死を無駄にしちゃ,
          いけねえよ」
     
    珠江はその場に泣き崩れた。
     
    上坂民部を乗せた囚人駕籠を左近が護送して行く。
    珠江は南国の故郷へ帰って行った。

     
    (ちょっとした感想)

    新十郎は,タマエちゃんに「手を汚しちゃダメ」って言っときながら,
    結局,自分がグラついて助けてもらっとるし…(>_<)!
    それで,最後は,仇討出来たから良かった…とかで
    …ちょっと都合良すぎる気が…。
     
    しかも,正当な仇討の手続きもなく,単に人を殺して復讐し,
    しかも最後は正当防衛のような形で三人目を殺したわけだけど,
    なんのお咎めもなし…左近も御用なし。
    というか,左近は珠江ちゃんが二人殺したことすら気付いてない。
    可愛らしい,同情すべき不幸な身の上の女の子…たまえちゃん。
    だからといって,こんな結末で,いいのかなあ…(-_-;)?
     
    女の子に,こんな形で復讐させるのって,
    所詮,作り物の世界であっても,やっぱりイヤだね。
    途中まで面白かったのに,最後でまた,突き落とされてしまった気分。

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    風…第17話「いのち果てるとも」

  • 2011-08-17 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第17話…いのち果てるとも
     
    美談へ向かって作為的な展開がチラホラ…(-_-;)
    今回の記事には,流れの途中で赤文字のツッコミ多々あり…。
     
    (アラスジ)
     
    甲州(山梨県)・三ノ口から採掘された金塊を,
    毎年,御上に上納する採金場の主(親方)・伊太郎は,長年に渡り,
    江戸の金山奉行・逸見大学文字通り「隠し金」として融通し,
    逸見の出世に貢献していた。
    水野越前配下の隠密忍者かがりは,金塊の引き渡し現場を密かに探索し,
    取り立てに来た役所の番頭(バンガシラ)・大岩典膳(テンゼン)に渡された
    積み荷が少ないことに気付く。
    伊太郎が用を済ませて引き揚げようとしたとき,
    江戸からかがりのあとを追ってきたという相川左近が
    百姓姿で強引に蔵へ立ち入り,そこに置いてあった木箱の中に,
    金塊がギッシリ残されていることを確認する。
     
    左近は,自分が江戸の同心であることを告げ,
    水野手配のくのいち(かがり)の存在を匂わせたうえで,
    伊太郎に縄をかけ,江戸まで連行することに…。
    しかし,その道中,
    隠し金の秘密を知られては困る金山奉行配下の侍達が,
    伊太郎を奪還せんと,一斉に左近を襲撃する。
    かがりをはじめ,新十郎が左近を助ける。
     
    (流れ)
     
    隠し金のことで伊太郎が召し取られたことを,
    江戸の金山奉行・逸見大学に知らせたのは村娘のおとよだった。
    おとよは,逸見が伊太郎のおかげで出世していることを知っており,
    奉行の力で伊太郎を助けるよう願い出る。
     
    その頃,左近は,現地の番所へ出向き,応待した大岩典膳の前で,
    江戸まで伊太郎を連行するための警護を依頼していた。
    大岩典膳は,役所の番頭として監察不行き届きがあったことを認め,
    快く左近の申し出を受ける。
    ところが,伊太郎を囚人駕籠に乗せ,多数の役人達と共に出立した
    ところ,道中で一転,伊太郎を奪還せんと,
    同道していた侍達が左近に襲いかかる。
    そこへ,あとをつけて来たかがりが助けに入る。
    伊太郎は,左近とかがりを抹殺するよう命令する。
     
    近くで様子を見ていたおとよは,
    かがり達に短刀を投げつけようとするが,
    木陰から現れた新十郎に止められる。
    「何故,伊太郎を助けたいのか」との新十郎の問いに,
    おとよは,捨て子の身の上で,伊太郎に救われ育てて貰ったため,
    命の恩人を助けるのは当たり前のことだと言う。
    新十郎は,ふと,おとよに同情する。
    おとよは,新十郎の腕を振りはらい,乱闘現場へ突進する。
     
    左近とかがりは,駕籠から伊太郎を連れ出して逃げた。
     
    新十郎の前に大岩典膳が現れ,金塊の秘密を知った以上,
    かしておけぬと,闘いを挑んできた。
    大岩典膳は,新十郎の「みだれ八相」の構えを見て,
    その相手が「風」だと知る。
    (ここでまた,カッコ良くも,ややクサめのセリフが出る(^_^;)。
     
    新十郎 「そのとおり。この空の続く限り,気の向くままに吹き抜ける」
     「みだれ八相」の構え…もう何度も見たけど一応解説。

    新十郎の十八番(オハコ)の
    刀剣術。
     
    ※「八相」とは
    剣術の構えの一つで,
    中段から切っ先を上げつつ
    右脇に引き,
    刀をほぼ直立させる構えのこと。
    相手を威圧しながら監視し,
    その出方を探ってから攻撃に出る
     
    新十郎は切っ先を上げつつ左脇に引き,左掌を刀の背に添えている。
     
    刀のみならず,両手で鉄の鎖を操る大岩典膳。
    投げた鎖を寸でのところで避ける新十郎。
    (このあとどうなったのかは展開が切り替わって不明)
     
    左近とかがりは,伊太郎を連れて,山道脇へ隠れる。
    伊太郎は,村の者達が皆自分の味方であるから,
    必ず救出されると言い,自信満々でいた。
     
    追手を見送ったかがり達の前に,おとよが来て,抜け道を案内する。
    雪深い山の中へ誘導され,先へ進むのが困難になる。
    じきに夕暮れになるため,かがりはひとまず,
    眼下にある村落へ向かうことを提案する。
     
    人里へ下りた時,大岩典膳ら追手の侍達が待ち構えていた。
    おとよは一転,かがりに刃を向け,伊太郎を解放させる。
    しかし,ここでまた,新十郎が現れ,おとよに刃を向ける。
    一時,縄から解放された伊太郎だが,
    おとよを犠牲にはできず,再び自ら縄にかかることにする。
    かがりと左近は伊太郎を連れてその場を去る。
     
    左近は先を急ごうとするが,右腕に手傷を負ったために,
    フラフラ状態。かがりは近くの民家へ行き,傷の手当てだけでも
    できないかと頼むが,戸口を閉ざした家の者は,
    関わり合いになるのを恐れ,その申し出を拒否する。
     
    困ったかがり達に声をかけたのは,
    離れの民家に住む,お品(オシナ)だった。
    (忍者のかがりが,一人で傷の応急手当もできんというのは不自然)
     
    家にいた農夫の源吉は,かがり達をかくまうことで,
    災難が降りかかることを恐れる。
    そこへ来た新十郎は,かがり達が民家へ入るのを目撃していた
    おとよの知らせで,すぐ追手が来るため,家を出るよう急がせる。
    が,それまで怯えていた源吉は,急に勇気を奮い立たせ,
    女房のお品と共に家の隅々を閉めきって,新十郎達を匿うことにする。
    (今回は,臆病者転じて勇者と化すパターンが,わざとらしい)
     
    やがて大岩典膳達が来て,源吉の家を取り囲む。
    (新十郎が何故か典膳を何度も討ち逃すという映像のない展開が不自然)
    普通,コイツから真っ先にヤルぜ…(-_-;)
    でも,今やっちまったら,都合が悪いの,あとの展開上。
    こういう無理矢理くさいのは,ご都合主義でイヤなワケ。
    しかも,今回は,何度も何度も…ハア~( ̄д ̄)~?の世界が続く…。)
     
    源吉は戸を開け,あくまで新十郎達のことは知らないと言い張る。
    典膳らは,源吉とお品を問い詰めたあと,家探しをはじめる。
    積んだ稲ワラの裏側に隠れ,息をひそめる新十郎達。
    役人らは,そこかしこに刀を突き刺して探索するが見つけ出せない。
    ひとまずその場を去る典膳だが,おとよは引き続き家に入って,
    気配を窺う。と,怪我に苦しむ左近のうめき声が聞こえる。
    おとよは一目散に典膳へ知らせに行く。
    (あ…あのォ(-_-;)…言いたかないけど,
    伊太郎の口にはサルグツワとか噛ませてないから,
    普通なら声の一つや二つ,簡単に出せるわけだよね…なのにそれもナシ。
    助かることは確実だから,無理に声上げなくても大丈夫ってワケらしい)
     
    源吉の家に戻った典膳の前で,
    新十郎は伊太郎の喉もとに刃を当て,人質にする。
    手を出せず,躊躇した典膳は退却する。
    その後,典膳は,金山奉行の逸見大学に,新十郎達が伊太郎を盾にとり,
    なかなか始末ができないことを報告する。
    逸見大学は,金山奉行の地位を捨てるわけにはいかないと固執し,
    伊太郎もろとも始末して証拠を隠滅するよう指示する。
    これまでの出世の恩義を裏切ってでも,秘密を守ろうとする逸見に,
    おとよは約束が違うと言って反発するが,典膳は,命令どおりにする。
    (金の恩人は平気で裏切るけど,命の恩人は絶対に裏切らない…。)
     
    翌朝,伊太郎を引き連れ,源吉の家をあとにした左近とかがりの前に,
    再び典膳達が来て,行く手を阻む。
    左近は伊太郎に刃を向けて盾にするが,
    侍達が一斉に襲いかかってきたため,かがりも応戦する。
    その場に佇む伊太郎は微笑するが,
    ゆっくり前進してきた典膳は,伊太郎に刃を向ける。
    動揺する伊太郎を「捨て犬」呼ばわりする典膳。
    裏切りを確信した伊太郎は,自分が見捨てられたことを知る。
    典膳の攻撃に,身を翻して回避する伊太郎。
    乱闘の中に現れた新十郎は,伊太郎の身に巻かれた縄を斬って解く。
     
    ここでまた,みんなでチャンチャンバラバラやった揚句,
    新十郎達は,再び源吉の家へ逃げ戻る。
    ↑はあ~?(-_-;)…なんで,テンゼン達を始末せんネン…?
    しかも,民家の関係ない人まで,また無理矢理巻き込むという展開。
    当然,ここに伊太郎もおとよも入ってイタ…。
     
    しかし,敵は外から弓矢で家に火を放つ。
    稲ワラに着火した火を,新十郎やかがり達は必死に消そうとする。
    それを見ていた伊太郎とおとよは,井戸から水をくみ上げて協力する。
    その姿を見た新十郎は,
    「これであんたも俺達の仲間になった」とかなんか…ア~ぃ(-_-;)
    改心した伊太郎達の行為に感心(感動)する。
    籠城したら火責めズラ(甲州弁デス)…と思ったら,やっぱりソレ…。
    しかも中途半端で,すぐ家の者に消されるという展開。
    左近さんなんか,怪我なんかしていなかったかのように,
    腕ブンブン振り回して必死こいて火を消してたしね…(-_-;)
    本気で抹殺するなら家の回りに油タップリまいてボーボーッだ!
    でもソレモナシ。
     
    多分に「人が改心する行為」を描くのが目的で,
    ソレがやりたかったがための不自然な展開が数多くありすぎるみたい。
    美しいさ,そりゃあ,そのほうが。悪に豹変するよりもね。
    だけど,そもそも,
    この伊太郎って男のバックグラウンドが
    まるで描かれていないうえをもってきて,
    何故,長年,金山奉行に金を渡して出世させていたのか…という,
    日常的な必要性とメリットが,「言ってるだけ」で全く出てこないから,
    なんかワケのわからん男が,金がらみの仲間から裏切られ,
    それとは対照的に,
    仲間を助けるために命張って必死こいてる連中を何度か見たことで,
    善に目覚めて改心する…という,いい意味での豹変ぶりに,
    どことなく,そんなもんかしらねェ…という安易さを感じてしまう。
     
    例えば,密かに孤児院でも経営していて,
    罪人の親から捨てられた不幸な子供達のために,
    どうしても金と権力の力に擦り寄らねば,
    皆を生かすことができなかった…とかいう,
    善意の顔を持ちながら,それを置き去りにしてまでも
    欲望へ突き進むに至った,のっぴきならない理由付けなんかがあれば,
    改心の情も,結構リアルになる気がするんだけど…まあ,いっか。
     
    源吉は,その晩,吹雪になれば,
    敵の目を避けて山を下れるはずだと言う。
    (八甲田山になるだヨ…ソレ(-_-;)フブキのヤマ歩きはソーナンだぜ。)
     
    やがて源吉の家に,お品の母親が押しかけてきて(やっぱり)
    娘を関わり合いに会わせたくないと,外へ無理矢理連れ出して行った。
    (はあ~?もう,ここまで見え透いちゃうとゲンメツ…。)
    家から女房を外に出したら,大岩典膳が人質にするのはミエミエ。
    新十郎は「危険だ」と言ってちょっとだけ止めるものの,
    オバアサンの勢いにダンマリを決め込むし,
    なにより,夫の源吉が,苦し紛れに妻を(守るため)追っ払う…
    というムチャクチャな展開だビョ~ン…勝手にヤレシ
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    風…第16話「最後に笑う奴」

  • 2011-08-16 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第16話…最後に笑う奴
     
    ※ 「徒(カチ)目付」役人夫婦の生きざま…同じ穴のムジナ…(-_-;)。
     
    「徒目付(カチメツケ)」とは,
    目付(江戸幕府及び諸藩に置かれた役職のひとつ)の配下として,
    調査・探偵・牢獄,玄関取り締まり・書類起案・宿直などの役目を担う。
     
    (アラスジ)
     
    江戸から上州高崎藩へ出向した徒目付の伊吹隼人は,
    同藩における御用林伐採に関する調査を終えた頃,
    家老・村沢監物(ケンモツ)の屋敷に招かれ,酒に酔った勢いで,
    村沢の娘・和江に手をつけようとして,監物に制止されたが,
    なお抜刀して暴れた揚句,村沢の家来に取り押さえられるという
    不祥事を起こしたため,翌朝,切腹して果てた。
     
    かがりは,伊吹の切腹の真相に疑念を抱く水野老中の命を受けて動き出すが,
    このことを新十郎に嗅ぎつけられる。

    馬を飛ばして高崎方面へ向かった新十郎は,
    同じ旅籠に宿泊していた伊吹の妻・三千代と出会う。

    夫の死の経緯を知らされた三千代は,
    真面目な夫がそのような失態をするはずはないと信じ,
    何事か秘密を知ったがために,
    罠にはまって殺されたのではないかと思い,
    夫の死の真相を確かめようと,
    単身,江戸から高崎藩へ向かう途中だった。

    健気な良妻という風情のある三千代の事情を聞き,
    手助けを買って出た新十郎は,
    一緒に事の真相を探るため,高崎藩へ向かう。
     
    (流れ)
     
    土手の上で伝書鳩を弓矢で撃ち落としたかがりは,
    鳩の脚に巻かれた密書を開封する。
    そこには,
     
    先月十日,上州高崎城下において切腹した徒目付
    伊吹隼人の死につき 水野老中の探索の芽がのびる恐れあり 
    厳重なる警戒を要す
     
    と,記されていた。
    ふと,かがりの手から,密書が釣り竿で奪われる。
    茂みの中で,それを手にしたのは新十郎だった。
    「敵もさる者」と感心する新十郎に,かがりは憤慨し,
    仕事を横取りする気かと聞くが,
    新十郎は密書を手にしたまま,いずれ高崎で会おうと言い残し,
    風のように去る。そのあとを追う,かがり。
     
     
    馬を走らせ上州高崎方面へ向かった新十郎は,
    途中,本庄宿の俵屋という旅籠に停泊する。
    夜分,寝床で休んでいた新十郎は,何者かの気配に気付き,
    ふと薄目を開ける。
     
    頬かむりをした盗人男がひとり,廊下を忍び足で来る。
    男は新十郎の向かいの部屋に侵入し,
    就寝している武家の女の枕もとにある財布を盗み取る。
    突然,女が気付いて声を上げるが,盗人は急いで窓から外へ逃げた。
    騒ぎを聞いて様子を見に来た新十郎は,女が財布を盗まれたというので,
    それを取り返そうと,屋根伝いに逃げる盗人のあとを追う。
     
     
    屋根から地上へ下りた盗人は,物陰で装束を着替え,
    町人姿に身を変え,何気なく夜道を歩き出す。
    男が路地を曲がると,新十郎が待っており,ジリジリと歩み寄る。

    目の前でニヤリと笑う,黒い着流し姿の見栄えのいい若くて渋い男が
    (カッコイイ『風の新十郎』の形容多し(~o~)💛)
    噂に名高い「風の新十郎」だと気付いた盗人の男は,平謝りに謝る。

    新十郎は,素直に財布を返せば見逃してやると申し向けたところ,
    男は,ある人物から財布を盗むよう頼まれたという。
    誰に頼まれたのか,男が名を明かそうとした瞬間,
    物陰から銃口で狙撃され,男は即死する。
     
     
    旅籠に戻った新十郎は,財布を盗まれた武家の女の部屋で事情を聞く。
    誰かに恨まれるような覚えはないかと尋ねるが,
    女はそのようなことは決してないという。
    心当たりがあるとすれば,
    高崎へ旅をさせまいとする者の仕業ではないか…とのこと。

    高崎に何をしに行くのかと新十郎が訪ねると,
    女は「夫の恥」になること故,理由は聞かないで欲しいと涙ぐんで言葉を濁した。
    その女は,高崎で切腹した徒(カチ)目付・伊吹隼人の内儀(妻)三千代だった。
    夫の死の真相を確かめたいという三千代に,
    新十郎は力を貸すことを申し出る。
     
    三千代は,夫の伊吹隼人は,
    罠にはまって殺されたのではないかと疑っていた。
    二ヵ月前,伊吹は江戸の若年寄・林肥後守の命を受け,
    単身,高崎へ出向した。
    「高橋藩にまつわる,ある疑惑を糺すための容易ならぬ仕事である」と,
    三千代は夫から任務の内容を聞かされていた。

    その十日後,高崎藩での仕事を概ね終えた伊吹は,
    次席家老の村沢監物(ケンモツ)の屋敷に招かれて,酒を勧められ,
    酔った勢いで村沢家の年頃の娘・和江に手をつけようとし,
    監物が身体を張って止めに入ったところ,なお刀を抜いて暴れる始末…。
    結局,伊吹は,家来衆に寄ってたかって取り押さえられたとのこと。
    翌朝,酔いが覚めて事の次第を知った伊吹は,
    武士にあるまじき行為をした己の身を恥じ,切腹したという。
     
    生真面目で型物だった夫の性質から,
    「そんなことは作り話だ」と言う三千代は,新十郎に改めて協力を頼む。
    そのとき,火鉢に仕掛けられた爆薬がいきなり発火して爆発する。
    咄嗟にその場を離れた新十郎達に,怪我はなかった。
     
     
    翌朝,三千代と共に旅籠を出立した新十郎のあとを,
    なにやら一人の侍が扇動する山伏の一行がつけて来る。
     
    新十郎達は,途中,立ち寄った茶店に,初老の百姓男が入って来る。
    金もないのに酒を注文するその男に,新十郎は酒を奢ってやる。
    店を出る際,その男から,外に山伏の追手がいることを聞く。
     
    新十郎達が去ったあと,ひとりの虚無僧が店に入って来た。
    笠を取ったその相手を見るなり,百姓男はにっこり笑う。
     
    村沢監物の屋敷に着いた新十郎と三千代は,伊吹の位牌を見せられ,
    切腹の経緯について,直接,監物から聞いていた。
    落胆した三千代と一緒に屋敷を出る新十郎。

    門を出る際,中間(チューゲン※家来の男)から編笠を渡される。
    中の紐に,手紙が巻きつけられていた。
    別な場所で手紙を開くと,
    伊吹の件で知らせたいことがあるとのこと。
    新十郎達が指定された場所へ出向くと,
    先ほどの中間の男が倒れており,
    事情を聞こうとしたが,程なく死亡した。

    三千代は,夫の死に何か関わりがあるに違いないと言って動揺する。
    新十郎としては,これ以上,深入りすると三千代の身が危ないと忠告するが,
    「夫のためなら地獄へでも行く」と,三千代は涙ながらに訴える。
    と,そこへ,高崎藩の目付役が家来衆を引き連れて来て,
    新十郎達を取り囲む。

    目付役は,役所で事情を聞くと言って連行を促すが,
    その男の顔をじっと見る新十郎は,いきなり笑い出し,
    先ほど茶店で会った百姓男ではないかと指摘する。
    目付役の男は,「とにかく一緒に来い」と言い,
    三千代を人質にして,新十郎を連行する。
     
     
    三千代と新十郎は,少し離れた別々の牢屋に入れられた。
    そこへ出向いてきたのは,村沢監物だった。
    三千代は,牢屋の格子にすがりつき,
    監物の前で「夫をどうしたのか」と問い詰める。
    が,監物は家来に命令し,牢の中で三千代を紐で吊るし上げ,
    竹刀で叩き始める。新十郎は,やめるよう叫ぶ。
    すると監物は,新十郎の前に来て,
    誰に頼まれて高崎へ来たのかと問い詰める。

    旅の途中で偶然三千代と知り合い,
    物好きで同道しただけだと答える新十郎の言葉を嘘だと見抜いた監物は,
    「最初から目を付けて調べに来たに違いない」と指摘し,
    「水野老中のために動いていることはわかっている」と見抜いて,
    薄笑いを浮かべる。
    伊吹隼人は,藩の不正を知ったために抹殺されたのでは?
    と疑う新十郎に,村沢は,「そのとおりだ」と返答する。
    藩が幕府から預かる御用林の檜を密かに伐採し、
    それを売った事実を伊吹が知ったために殺した…と,真相を暴露する。

    叩かれて半ば気絶した三千代は,新十郎と同じ牢へ入れられる。
    やはり夫は殺されていたのだと知り,落胆する三千代。
    新十郎は,そんな三千代に,
    「生き抜いて夫の仇を討つことを考えろ」と励ます。
    三千代は,夫のことで新十郎が巻き添えになってしまったことを気にするが,
    外から聞こえて来た虚無僧の吹く尺八の音を耳にした新十郎には,
    脱出の糸口となる勘があった。

    程なく天井板が開き,そこから茶店で酒を奢った百姓男が忍び姿で現れた。
    男は新十郎に巻かれた手かせと足かせの金具を解き,
    三千代を背負って脱出を導く。
    新十郎達が屋敷から出ると,
    そこには虚無僧姿に化けたかがりがいた。
     
    百姓男の小屋で三千代を寝かせ,かがりから事情を聞く新十郎。
    その百姓男は,甲賀の忍者として,幼児だったかがりの養育をした経緯もあり,
    かがりとは旧知の仲だった。
    かがりはこの男を「ゲンジイ(源爺い※以下名称略)」と呼ぶ。

    源爺は,水野老中子飼いの隠密忍者として,
    高崎藩の御用林の番人になっており,
    檜伐採の秘密を水野へ知らせた人物だった。

    伊吹隼人はそれを調べに来て殺害されたのか…と,真相を呟く新十郎。
    途中,村沢屋敷の中間(家来の男)が殺害されたが,
    彼も甲賀の忍者だったという。
    かがりは,傍で寝ている三千代のせいで仲間が犠牲になったと,
    憎しみをぶつける。
    新十郎は,かがりをなだめ,今度は先手を打つと言う。
     
    村沢の屋敷で優雅に琴をひく和江。
    その傍に,寝転んでくつろぐ若い侍がいた。
    ちょうどそこへ監物が来て,その侍に「伊吹殿」と呼びかける。
    伊吹隼人は生きていた。

    伊吹が林肥後守の命を受け,高崎藩城下へ赴いたのは,
    高崎藩と林肥後守とを結ぶ木材密売の証拠を隠滅するためだった。
    江戸表でこの秘密に疑惑を抱く人物は,水野老中ただひとり。
    風の新十郎をはじめ,水野の手先を抹殺することもまた,
    その役目のひとつであり,伊吹は妻と共謀して任務に当っていた。
     
     
    新十郎とかがりは,監物の娘を人質に取り,小屋へ連れて来る。
    戻って来ると,三千代の姿は消えていた。
    置き手紙には,これ以上,迷惑をかけることは心苦しく,
    夫の死の真相は自分で調べる云々…と書かれていた。

    一人で村沢監物の屋敷へ行ったのでは…と心配する新十郎達の前で,
    監物の娘・和江は,突然高笑いし,伊吹が生きていることや,
    「妻と別れる」と言った伊吹に騙されたことなどを暴露する。

    小屋には源爺の姿もなく,武器もないことに気付いたかがりは,
    きっと三千代のあとを追ったに違いないと察した。
     
    村沢の屋敷では,三千代が捕らえられていた。
    敵を呼び寄せるのに好都合だと,三千代をおとりに利用する伊吹。

    やがて彼女を助けに忍び込んだ源爺は,
    伊吹の狙いどおり,家来達に包囲されたため,その場で舌を噛む。

    そのとき正門から新十郎が斬り込んで来る。

    舌を噛んで死んだ…と見せかけていた源爺は,
    床下から聞こえる猫の声を聞いて,ひょっこり起き上がり,
    ネズミの声で応答する。
    と,かがりが床下から姿を現す。

    二人は,三千代を連れて脱出する。
    その様子を天井裏から眺めていた伊吹は,ほくそ笑む。
     
    源爺の小屋へ再び戻った三千代は,
    「生きる気力が無くなったため,自害する」と言い出し,
    新十郎も介錯を申し出る。

    かがりは断固反対するが,新十郎と源爺は,無理に止めだてしない。
    ふらりと外に出る三千代に,為すすべもなく悔しがるかがり。

    新十郎は,三千代が出て行った外の方を見るよう,かがりを窓際に立たせる。
    見ると,小屋へ続く導火線に火を点ける三千代の姿があった。

    新十郎達は,三千代の逃げ場を阻むように前後から追い詰める。

    正体がバレ,開き直って高飛車に笑う三千代は,
    全ては徒目付の夫と共謀し,練りに練った計画だったと白状し,
    頭のいい夫と,美しい妻の自分が,
    徒目付ごときの役職で満足するわけがない,と,
    醜い出世欲を露わにする。

    そこへ短銃が一発放たれ,
    伊吹や,村沢監物とその配下の者が押しかけて来る。

    新十郎達は取り囲まれるが,
    人質に取った監物の娘の隠し場所に「爆薬をしかけた」と脅しをかける。

    父親の監物は娘の身を案じて俄かに狼狽し,
    娘の隠し場所を聞こうとするが,
    三千代は肉親の情の介入は許さないと言い,
    短銃を取り上げて監物の腹を撃つ。

    苦しそうにうずくまる監物は,脇差を抜き,
    三千代へ向かって刃を刺す。

    その隙を突き,新十郎らは村沢の配下の者を討ち倒し,
    最後に新十郎が伊吹をタタッ斬る。

    倒れた伊吹は,虫の息で倒れている妻に手を伸ばす。
    が,双方の手が触れ合うことはなかった。
     
    一件落着し,駕籠屋に変装した新十郎と源爺は,
    老婆に化けたかがりを乗せて,宿場の関所を通過する。

    少し行ったところで駕籠から下り,変装を解いたかがりは,
    もっと運んでくれと源爺に頼む。
    が,駕籠の前方にいた新十郎は,また風のように去り,
    いつの間にか先へ進んでいた

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    風…第15話「見ろ!言え!聞け!」

  • 2011-08-15 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第15話…見ろ!言え!聞け!
     


    ※この話は,やや違和感を感じた作品のひとつ。
     個人的な感想は下段に後述。
     
    (アラスジ)
     
    江戸の町では毎日のように油の値段が高騰していた。
    そんな御時勢にあって,町人界隈の流行り言葉は,
    専ら「見ざる,言わざる,聞かざる」。
    何もせずに泣き寝入りするしかなかった。
    油の需要が高まれば値が高騰するため,
    荒稼ぎを画策する豊前屋は密かに油を買い占めて
    寺社奉行管轄の寺へ留め置き,流通を滞らせていた。
    その後ろ盾として,寺社奉行大番頭:弓場佐渡という黒幕がいた。
    このカラクリを調べていた岡っ引きが,
    豊前屋の手下達によって殺害された。
    現場を偶然目撃していた馬子の姉弟らは,
    「油の買占め悪事」に巻き込まれる。
     
    (流れ)
     
    父母を亡くした,お勝の弟妹ら四人は,
    馬子として物資の運搬を請け負い,生計を立てていた。
    ある日,お勝と末の弟が草刈りに行った際,
    偶然,豊前屋の手下達が岡っ引きを殺害する場面を目撃する。
    手下に見つかったお勝達は,何も見ていないと嘘をつくが,
    そのまま豊前屋のもとへ連行されてしまう。
     
     
    この様子を陰から見ていたかがりは,お勝達を助けようとする。
    が,茂みに寝転んでいた新十郎に止められる。
    「あの二人は見た,聞いた,
    それなのに臭いものに蓋をするようなやり方は気に食わねえ」
    と言う新十郎は,安易にお勝らを助けようとはしない。
    それとは対照的に,かがりは,お勝とその弟の身を案じ,
    あとを追う。
     
     
    間もなく,岡っ引きの亡骸のある場所へ,左近が来る。
    左近は,近くに鎌が二つ転がっているのを発見し,不審に思う。
     
     
    備前屋の前へ差し出されたお勝達は,
    油買い占めのカラクリを知り,
    命乞いをして仲間になることを申し出る。
    このとき新十郎は,密かに内部へ侵入し,油買い占めの後ろ盾に
    小石川の弓場佐渡の存在があることを知る。
     
     
    身内四人全員で,密かに油運びの手伝いをするよう豊前屋から命じられ,これを約束したお勝は,家に帰ってこのことを話す。
    弟の一人は,「御上に届ける」と言って反対するが,
    まだ少年の末の弟まで巻き添えにはできず,
    「先のことより,今日を生き抜くためには,
    黙って言いなりになるしか方法はない」と言うお勝の言葉に従い,
    悪事には目をつむり,皆で油を運ぶことを決めた。
     
     
    家の外に潜んでいたかがりは,この事情を知る。
    一方,豊前屋からお勝達を見張るよう言われた手下の男は,
    お勝が秘密を暴露すれば抹殺せんと,陰で様子を窺っていた。
    と,そこへ左近が来る。

    鎌の持ち主が,お勝達であることを突き止めた左近は,
    その家の者が岡っ引きを殺害したのではないかと詰問する。
    お勝を狙う豊前屋の手下は,吹き矢を放つが的を外す。
    ちょうどかがりがそこへ来て,
    岡っ引きを殺害したのは,今の奴らだと左近に教える。
    かがりは,お勝達に何も言わなくていいと告げ,
    手助けすることを約束し,逃げた男を追いかける。
    庭に出て,動揺するお勝の前に,新十郎がふらりと姿を見せ,
     
    新十郎 「車を引く前にもう一度考えろ。今日は生き抜いても
          明日は死にさらされるかも知れねえぞ」
    お 勝 「・・・」
    新十郎 「人の一生は,晴れの日ばかりではない。
         雨風を乗り越えてこそ,
         晴れの日を迎えることができるんだ」
    お 勝 「・・・」
    新十郎 「本当の幸せを望むんなら,勇気を出せ。
       おテントウさまは,どっからでも見てるんだぜ」
    お 勝 「あんた一体,誰なんだい。
         どうしてそんなこと言うの!」
    新十郎 「世の中を明るくしたいと思うからさ。
          明日に生きるか,今日を生きるか,
     好きなほうを選ぶがいい」
     
    ※水戸黄門みたいに何故か事の次第を全部知っているかのような怪しい人物(新十郎)から,初対面でいきなりこんなふうなクサめの説教されたんじゃ,たまらんよね…という不自然さがアリアリだったりする…(+o+)
     
     
    豊前屋は,同心の左近や,怪しい人物かがり,
    そして風の新十郎の動きに警戒し,対策を講じるための相談をしていた。丁度そこへ弓場佐渡(ユンバ サド)が姿をみせる。
    寺社奉行大番頭である弓場は,小役人如きが動いても,
    万一の時は,自分がもみ消すと言って自信満々の風情だ。
    結局,油を荷車で運ぶことにしたお勝達。
    だが,その途中,馬に乗って逃げる新十郎を,
    同じく馬で追いかけてきた左近が,
    積み荷の回りをぐるりと旋回する。
    (この展開も無理矢理臭い…左近さんが馬で追うかな?)
     
    積み荷の上に,新十郎が十手を放り投げ,
    それをよじ登って取ろうとした左近は,
    荷台の中に油壺を発見する。
    お勝らを追及する左近だが,
    それを陰から見ていたかがりが来て,止めに入る。
    このとき,様子を窺っていた豊前屋の手下の男が,
    吹き矢を放とうとするが,
    ふとそれに気付いたかがりが応戦の構えを見せるものの,
    傍にいた新十郎が,かがりを止める。
    潜んでいた男も,吹き矢を吹かずに去って行った。
    (吹く絶好の機会だったんだけど?)
     

    はあ?…なんだかなって感じ
    (-_-;)…最初のほうで,
    岡っ引きを平気で見殺しにしたのも変だと思ったけど,
    その直後から,嘘をついたお勝達に「気にくわねえ」と矛先を向けた時点で,また作為的な臭いがプンプクしたし…もう大体,この辺から,ケツマツと意図が見えちまった恋夜です。
     

    かがり 「どこまで邪魔をするんだい,
         弱い者いじめもいい加減におしよ!」
    新十郎 「弱すぎるから,手が引けねえのさ」
         (もっと強気になれっちゅう意味ね)
     
     
    町方の左近に証拠をつかまれ,事が明るみに出てしまったことで
    焦った豊前屋は,お勝達を殺すよう手下の浪人達へ指図する。
    家に戻ったお勝達に,左近は油の事情を聞こうとするが,
    皆一様に黙りこくっている。
    そこへ来たかがりは,左近を一旦,外へ連れ出し,
    油買い占めの元締めを突き止める方法があると言って,
    更に離れた場所へ行き,事情を教える。
    「お勝達が新十郎にいじめられている」と思い込むかがりは,
    情け深い左近に協力を求める。
    事情を聞いた左近が,お勝達のもとへ戻ってみると,
    誰一人いない。
     
     
    お勝達は豊前屋の手下どもに別の場所へ連行されていた。
    豊前屋の手下の浪人は,
    お勝の妹お咲を人質として連れ帰ることにし,
    引き続き油運びをするよう命令する。
    絶望的に外へ出て来たお勝を,
    新十郎は,何も言わずにじっと見ていた。
    お勝も新十郎の無言の圧力を感じ,一目散にその場を立ち去る。
     
     
    その後,お勝達三人は,妹お咲の身を案じる。
     
     
    お咲は,豊前屋と弓場佐渡の晩酌の相手を無理強いさせられる。
    そこへ新十郎が姿を見せ,お勝に頼まれたと言って,
    お咲を救出し,あとで迎えに来るからと,ひとまずカラッポの油桶の中に彼女の身を隠し置いて外へ脱出する。
     
     
    お勝は,新十郎の言葉を思い出していた。
    「明日に生きるか,今日に生きるか…」
    お勝は,豊前屋のいる寺へ妹を奪還すべく,
    皆で殴り込みに行くことを決意する。
    と,そこへ,豊前屋の手下の浪人達が押し掛けてきた。
    お咲の行方を問い詰める浪人らの前に,
    かがりと左近が割って入り,
    お勝達が備前屋へ殴り込みへ行くことを手助けする。
    見送った新十郎は,浪人達を倒したあとで,
    今まで陰で見守って(いじめて)いたのは,
    皆が(殴り込みをかける)勇気を出すのを待っていたからだと,
    かがりに告げる。
    これまでの新十郎の非協力的な態度に納得したかがりは,
    一緒に豊前屋達のいる寺へ乗り込む。
     
    殴り込みはしたものの,お勝達は易々と捕まり,
    そこにいた弓場佐渡の刃によって斬首されようか…
    というところを,新十郎とかがりが危うく助けに入り,
    襲いかかる連中を倒す。
    弓場佐渡は,油まみれになった廊下で転び,
    お勝達の振るう刃によって討ち倒された。


    (雑感)

    ※弓場佐渡の役は,『新選組血風録』の原田左之助でお馴染みの  徳大寺さん。
    もと新選組メンバーが悪役になって登場するというのは…
    一瞬,驚きと楽しみはあるものの,
    後味的には,なんとなくイヤなものが残る。
    役者さんなら,どんな役でもこなすのが当然のお仕事…
    というのも承知しているとはいえ,こうもあからさまだと,ちょっとイヤ。
    やっぱり,新選組血風録のメンバーが大好きだから…変な感じがするのかな。ひょっとして…そのうち島田さんも登場したりして。


    (違和感)

    まあ,それはともかく,最初に書いた「違和感」というのは,
    説教臭いのとはまた別に,
    物事を解決する勇気=暴力行為…に直結していること。 
    見ざる,言わざる,聞かざるのまま,
    泣き寝入りばかりしていちゃいけないよ,
    不正を目にしたら,声を上げて,戦わなくちゃいけないよ,
    そんなメッセージはわかる。
    でも,なんでそれが「捨て身の殴り込み」でなくちゃならんの 
    かしら…? しかも,女子供に関係なく,そう仕向けられる。 
    強力で,絶対負けない力がバックにあるというのが前提の,
    まんま作り事の世界なら,それもアリなんだろうけど…。
    血で血を洗う闘争というものが際限なく行われるのは,
    なんでもすぐ暴力で解決しようとする,
    誤った方向への意思の力だと思うし,
    それを単純に「生きるための勇気」とみなすのは,
    どうにも違和感を感じてしまう。
    普段,武器など持ったことのない一般市民が,高圧的に
    「暴力のために勇気を出せ!」と鼓舞されたとしたら,
    まるで「特攻隊で死んでこい!」と言われたのと同然。
    しかも,ちょうど終戦記念日の8月15日に,
    こんな話がタイムリーで放送されるとは…,
    (保守気取りのフジ系列だから意図的なのか?)
    芝居の話とはいえ、ちょっと考え込んでしまった。
    結束先生だったら,なんと仰るだろう…?
     
    結束作品の栗ちゃまや島田さん左右田さんの演じた
    用心棒の世界では,弱者を必ずしも最終的に救う事ができない
    という,悲しいお話が数多くあったけれど,
    そういう方が現実の世界では多いから,
    やりきれない感覚は残るものの,
    「作りモノ」という違和感を感じることはなかった。
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    風…第14話「孤剣 春を行く」

  • 2011-08-12 : 風の新十郎 : 編集✍
  • 第14話…孤剣 春を行く


    (アラスジ)
     
    もと老中職で隠居の身となった太田備中守は,
    北町奉行と結託し,老中水野越前守の命を狙う。
     
    (流れ)
     
    時は新春(正月)。
    早苗や,かがりをはじめとする大勢の町娘達が,
    それぞれ晴れ着姿で一堂に会し,
    百人一首のカルタ取りをして遊んでいた。
     
    上の句を詠むのは,毎度,同心姿の相川左近。
    カルタ取りは,かがりが優勢。
    もしや忍法でも使っているのでは?と,
    文句をたれる早苗の不満をなだめつつ,
    左近は次の句を詠む。
    と,カルタに「風の新十郎」と書かれた文言が記されていた。
    それは,水野越前の命が危うい…と,
    暗に知らせる内容だった。
    かがりは一目散に江戸城へ走る。
     
     
    その頃,江戸城中で新年恒例の“歌い初め”が催され,
    これに参列して帰還する行列の御駕籠が爆破された。
    駕籠の中に水野越前守が乗っているものと思ったかがりは,
    その名を叫んで走り寄る。
    が,それを引き止めた家来がひとり。
    新十郎だった。
    同じく家来の姿に化けた水野が背後から現れる。
     
    老中職から隠居した太田備中守は,北町奉行から,
    「風の新十郎」によって水野暗殺が失敗した・・
    との報告を受ける。
    偶然,その場に呼ばれていた町人姿の噺家・一八は,
    目の前にいる侍が北町奉行だと知って驚く。

     
    新十郎は,その名を「シンスケ」と変え,
    長屋の隣に住む盲目の町娘お登勢と,
    その兄で浪人の結城伴作と懇意にしていた。
    お登勢を見る新十郎の眼差しには,
    不憫に思う同情以外のものがあった。
    千葉道場へ通っていた結城も,
    そんな新十郎の気配に気付いていた。
     
    仲良く居酒屋へ出向いた結城と新十郎。
    そこで結城は,目の手術をすれば
    見える可能性のある妹お登勢のことを相談する。
    もし見えるようになったら,
    妹と一緒になって欲しいという。
    新十郎は身分不相応だと言って断る。

    すると結城は突然,鞘から抜いた大刀を
    新十郎の襟もとに寸止めする。
    と,同時に,脇差を結城の喉もとへ寸止めする新十郎。

    結城は新十郎がただの町人ではないことを察しており,
    その腕を試したのだった。
    おそらく昔は,身分のある武士だったのではないか?と,
    尋ねるが,新十郎は「しらふでは刀を交えたくない」と
    笑ってごまかす。
     

    長屋のお登勢のもとに左近が訪ねて来る。
    盗人の「風の新十郎」が,長屋に出没しているらしい・・
    と聞いた左近は,新十郎を見かけたかどうか,
    お登勢に聞く。
    目が見えないお登勢には,
    新十郎の姿形はわからないが,
    似たような名前の男がいるか?と問われたとき,
    「シンスケ」の名が浮かんだ。
    しかし,お登勢は,それを左近に言わず,やり過ごす。
    このとき,お登勢は,シンスケが「風の新十郎」だと気付く。

     
    町人「シンスケ」姿の新十郎は,
    居酒屋で偶然左近と出会う。
    そこで左近から,
    「いじっていた鉄の腕輪が抜けなくなったので解いて欲しい」
    と頼まれる。新十郎がそれを手にするや,
    逆に手錠をかけられて左近に捕まってしまう。

    「風の新十郎」を捕まえた左近は,
    早速,北町奉行に報告する。

    「水野越前の命を守る新十郎の存在」を抹殺したい奉行は,
    翌朝早々,新十郎を打ち首にするよう左近に申し渡す。

    驚いた左近は,どんな悪人でも裁きを受けてから刑に処するのが常道ではないかと奉行の前で抗議する。
    しかし,「上役に背くは無礼である!」と叱責される。
     
     
    新十郎は、水野との関係を白状するよう拷問を受ける。
    しかしその口は堅い。
    太田備中は,供述はなんとでも作れるば良いと
    奉行に指示し,再び水野の暗殺を家来に促す。
    このとき隣室では,酔っぱらった一八が寝転がっていた。
     
    一方,かがりも,
    「昨晩,水野が新十郎に命を助けられたこと」を
    引き合いに出し,「(水野)老中の力で新十郎を助けて欲しい」
    と嘆願するが,水野はそれを拒否する。
    万一,助けるよう口添えすれば,
    風との関係を敵対勢力に教えるようなもの。
    個人の命よりも幕政のほうが大事であって、
    新十郎もそれを承知の上で加勢しているはずだと,
    水野は言う。
     
    そこで,左近とかがりは協力し,
    一見,町人男風に変装したかがりを,
    ゆすりの罪で捕らえたことにして,
    新十郎の隣の牢へ入れる。

    そこでかがりは,牢屋が臭いと急に女の声を出す。
    牢番の男は,俄かに女の声が聞こえたため,
    かがりの様子を見に行ったところ,
    左近が男と間違えて女を連行してきたものと思い,
    女の牢屋へ移動させようと外に出す。

    少し歩いたところで,
    かがりは牢番の腹をド突いて気絶させ,
    導火線を使って「忍者が忍び込んだ!」と役人に伝える。
    その隙に,新十郎へ手錠の鍵を渡し,牢から脱出させる。

    躍起になって町方が追いかける中,
    新十郎とかがりは,左近と出くわす。

    左近は何も言わずに背中を向け,
    向こうへ逃げるよう,後ろ手に回した十手で合図する。
    新十郎は礼を言って走り去る。

    間もなく町方の仲間が来て、
    新十郎がそこへ逃げてきたかどうか確認するが,
    左近は即座に「異常なし!」と返答する。
    仲間が引き揚げたあと,ひとり呟く左近。
    左近「俺のやってることは,正しいのかなあ…?」
    !(^^)!勿論ッス!
     
    新十郎とかがりは,急いで水野越前の屋敷へ向かい、
    水野の命を狙う覆面集団を倒す。
    水野は一八が連れ出して,事なきを得る。
     
    水野と新十郎の抹殺を失敗した北町奉行は,
    太田備中守のもとを訪れ,
    このままでは,自らの御役御免は免れず,
    幕閣も水野の色に変えられてしまうと危惧する
     
     
    将軍の側室である「お由利の方」が寛永寺に赴いた際,
    太田は「上訴の書状を上様に差し出して欲しい」と頼み込む。
    お由利の方は,長屋に住むお登勢と瓜二つだった。
     
    書状には,
    「老中水野が密かに外国と通じている」・・といった
    罪状が記されているという。
    太田に対して,「それなら自分で渡せば良い」と,
    お由利の方は毅然とした態度で申し出を断り、
    「これ以上,貴方の操り人形にはなりとうない」
    と反発する。

    太田の養女として将軍の側室となったお由利の方は,
    「五年余り経過した今でも地獄のような日々が続いている」
    と嘆きを漏らす。

    お由利の方には,五年前,言い交わした許婚
    (いいなずけ=婚約者)がいた。
    金と権力の力で太田備中に脅されて騙され,
    将軍家に嫁ぐことで、太田の出世の道具にされたことを
    今でも恨んでいた。

    「では,その地獄からお出し申そうか」…太田はそう言って、
    上訴の書状を上様に差し出して貰うことを条件に,
    「都へお帰しする」という約束をする。

    お由利の方は,その言葉を信じて書状を預かる。
     
    これを密かに聞いていたかがりは,
    早速水野越前に報告する。

    日本を外国の餌食にしたくないために
    水野が密かに裏工作を進めていることは事実だった。
    しかし,いずれは将軍の耳にも入れる予定であり,
    今,事を歪曲されて伝えられては困る・・という。

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