燃えよ剣(第19話)…砲声
近 藤 「私は,大事な戦いを前にして, 新選組を離れねばならんのか・・・」 |
❤CS時代劇専門チャンネル❤「栗塚旭の土方歳三」完全放送❤『燃えよ剣』(原作:司馬遼太郎,脚本:結束信二)より |
第19話「砲声」 |
近藤は狙撃され,沖田は病が悪化…そして鳥羽伏見の戦いが始まる… |
(凡そのアラスジ)
▼慶應三年十二月十二日,新選組は伏見奉行所に本陣を移動した。
伏見の町は静まり返り,公儀や会津の者もいない。
既に薩摩や長州の勢力が占める京都に対し,新選組が幕府の最前線を担うことになった。
しかし,その隊士は僅か六十余名となっていた。労咳が悪化した沖田の衰弱も激しく,
京から伏見まで僅か三里の道を歩くだけで極度に疲労するという状態であった。
伏見へ移動する前の残務整理として堀川の屯所へ残っていた監察の島田魁は,
五~六人の狼藉者の浪士たちが部屋へ土足で踏み入った際,
これを武士にあるまじき行為だと叱責する。島田はその名を名乗り,浪士たちと乱闘となるが,
帯刀していなかったため,めった斬りにされる。が,そこへ同じ監察の山崎が駆けつけたため,
浪士達は去った。息絶える前の島田に,山崎は一緒に伏見へ行くんだと励ますが,
島田は,新選組の監察として精一杯やったことや,新選組の屯営の中で死ねることが幸せだと言い,
思い残すことは何もない…と,最期の言葉を山崎に告げ,息を引き取る。
暮れに近い深夜の晩,新式の大砲を備えた長州勢は,これ見よがしに伏見の奉行所前を
騒音と共に通り過ぎて行く。焦る近藤は,翌日,二条城の大目付へ陳情しに出向くが,
その帰り道の竹田街道で左肩を狙撃される。
狙ったのは,油小路で生き残った高台寺党の残党・篠原泰之進ら数名。
街道沿いで待ち伏せした篠原らは,薩摩から入手した新式銃で,馬上の近藤に照準を合わせた。
撃たれた近藤は,馬を走らせ,伏見奉行所へ戻ったが,
砲径十五ミリの鉛玉は,近藤の左肩口に食い込んで砕け散っていた。
鉛の破片を全て摘出するには,一刻も早い本格的な外科手術を必要とし,
近藤は大阪城へ行って治療を受けることになった。
土方は,床に臥せている沖田にも,近藤と共に大阪へ行くよう申し渡す。
近藤と沖田が去った後,益々意気消沈する伏見奉行所へ,
林権助率いる会津の援軍が大砲を持参して到着し,新選組の隊士らは俄かに活気付く。
そして,慶應四年一月三日,薩摩・長州装備の砲声と共に鳥羽・伏見の戦いが幕を開けた。
▼セリフのピックアップ
(伏見奉行所内にて,土方と近藤の会話)
近 藤「トシさん,例えば,こう攻められたとする。僅か七十名足らずの新選組では,
伏見を守ろうにも軍略の立てようがない」
土 方「近藤さん,こうなったらもう,じたばたしないこった。
京・大阪が,薩摩ッポと長州ッポでうずまっても,この建物だけは,新選組が一丸となって,
立てこもっていればいいんだ」
近 藤「しかし,もう少し,なんとかならんもんかなあ・・・まず大砲が欲しい」
(伏見奉行所内にて,土方と近藤の会話)
近 藤「トシさん,例えば,こう攻められたとする。僅か七十名足らずの新選組では,
伏見を守ろうにも軍略の立てようがない」
土 方「近藤さん,こうなったらもう,じたばたしないこった。
京・大阪が,薩摩ッポと長州ッポでうずまっても,この建物だけは,新選組が一丸となって,
立てこもっていればいいんだ」
近 藤「しかし,もう少し,なんとかならんもんかなあ・・・まず大砲が欲しい」
(同所,寝床の沖田と裏通り先生の会話)
裏通り「あァあ・・・夜中だというのに,伏見の町は賑やかなことだ」
沖 田「アッハッハッハ,やじうまですね」
裏通り「ああ,江戸っ子だからね」
沖 田「どんな様子でした?」
裏通り「ああ,みんな,紙くず拾いみたいな格好して歩いて行ったよ。
大砲は,新式らしいなあ」
沖 田「変わりましたね」
裏通り「うん」
沖 田「四年前,京都に攻めてきた時の長州勢は,
先祖代々の鎧兜に身を固めていたそうですね」
裏通り「うん,四年の間に,向こうはすっかり変わったよ。
外国嫌い,攘夷に凝り固まっていた長州が,
いつの間にか,すっかり西洋式に武装を切り替えてしまった」
沖 田「天然理心流で,対抗できますかね?」
裏通り「うーん・・・さァねェ・・・」
裏通り「あァあ・・・夜中だというのに,伏見の町は賑やかなことだ」
沖 田「アッハッハッハ,やじうまですね」
裏通り「ああ,江戸っ子だからね」
沖 田「どんな様子でした?」
裏通り「ああ,みんな,紙くず拾いみたいな格好して歩いて行ったよ。
大砲は,新式らしいなあ」
沖 田「変わりましたね」
裏通り「うん」
沖 田「四年前,京都に攻めてきた時の長州勢は,
先祖代々の鎧兜に身を固めていたそうですね」
裏通り「うん,四年の間に,向こうはすっかり変わったよ。
外国嫌い,攘夷に凝り固まっていた長州が,
いつの間にか,すっかり西洋式に武装を切り替えてしまった」
沖 田「天然理心流で,対抗できますかね?」
裏通り「うーん・・・さァねェ・・・」
(同じ頃,近藤と土方の会話)
近 藤「無礼だ,武士にあるまじきことだ,長州は一体どういう了見なんだ」
土 方「近藤さん,ここで怒っていても始まらん,今の長州は,蛤御門を攻めて,
京都から追われて逃げていった長州ではない。
会津藩の代わりに,御所を守る立場にあるんだ」
近 藤「それがワシには納得できんのだ。トシ,お前は知らんのだ。
王政復古なんていうのは,あれはみんな薩摩の陰謀なんだぞ,
幕府は,まんまとしてやられたんだ」
土 方「近藤さん,例えそうであったとしても,もう,談合,周旋,議論の時期ではあるまい」
(※周旋【シュウセン】=交渉などで相互間を取り持つこと)
近 藤「無礼だ,武士にあるまじきことだ,長州は一体どういう了見なんだ」
土 方「近藤さん,ここで怒っていても始まらん,今の長州は,蛤御門を攻めて,
京都から追われて逃げていった長州ではない。
会津藩の代わりに,御所を守る立場にあるんだ」
近 藤「それがワシには納得できんのだ。トシ,お前は知らんのだ。
王政復古なんていうのは,あれはみんな薩摩の陰謀なんだぞ,
幕府は,まんまとしてやられたんだ」
土 方「近藤さん,例えそうであったとしても,もう,談合,周旋,議論の時期ではあるまい」
(※周旋【シュウセン】=交渉などで相互間を取り持つこと)
(治療のため,大阪城へ行くことになった近藤)
山 崎「将軍家よりの御命令を,お伝えします。新選組局長近藤勇,
直ちに大阪城に移り,治療を受けるよう,以上,仰せに出られましてございます」
近 藤「大阪城へ・・・」
土 方「・・・」
近 藤「私は,大事な戦いを前にして,新選組を離れねばならんのか・・・」
土 方「・・・」
近 藤「トシ,新選組を頼む」
土 方「近藤さん,心配するな,任せてくれ」
近 藤「(頷く)」
山 崎「将軍家よりの御命令を,お伝えします。新選組局長近藤勇,
直ちに大阪城に移り,治療を受けるよう,以上,仰せに出られましてございます」
近 藤「大阪城へ・・・」
土 方「・・・」
近 藤「私は,大事な戦いを前にして,新選組を離れねばならんのか・・・」
土 方「・・・」
近 藤「トシ,新選組を頼む」
土 方「近藤さん,心配するな,任せてくれ」
近 藤「(頷く)」
(同じく近藤と共に大阪城へ行くことになった沖田)
沖 田「近藤先生は,どうですか?」
土 方「その前に,総司,新選組副長として命令する」
沖 田「なんでしょう」
土 方「明日の朝,迎えが来て,近藤さんは大阪城に移る。総司は,一番隊組長として,
近藤局長の護衛として,同行を命ずる」
沖 田「((唖然)・・・とうとう私は,一番大事な時に,お役に立たなかったんですね・・・
同じ死ぬなら・・・」
土 方「なんだと?」
沖 田「同じ寝ているなら,ここで寝ていたかったのに・・・でも,いいんです,
裏通り先生に,これ以上ご迷惑をかけちゃ,悪いですからね」
裏通り「(笑って頷く)」
沖 田「近藤先生は,どうですか?」
土 方「その前に,総司,新選組副長として命令する」
沖 田「なんでしょう」
土 方「明日の朝,迎えが来て,近藤さんは大阪城に移る。総司は,一番隊組長として,
近藤局長の護衛として,同行を命ずる」
沖 田「((唖然)・・・とうとう私は,一番大事な時に,お役に立たなかったんですね・・・
同じ死ぬなら・・・」
土 方「なんだと?」
沖 田「同じ寝ているなら,ここで寝ていたかったのに・・・でも,いいんです,
裏通り先生に,これ以上ご迷惑をかけちゃ,悪いですからね」
裏通り「(笑って頷く)」
(恋夜のひとこと)
終わりに近いところで原田左之助が,京で暮らす貧しい母子家庭の女(おぎん)に,
自分の所持する大金を渡すため(たったそれだけの用事で)会いに行く場面があるけれど,
なんで,京都にいる最後の日に行かなかったんだろ~ね(・・?…
血風録の原田のときは,産気づいた妻同様の女の身を心配のあまり出かけるという,
もっともらしい理由があったから,まだ良かったけれど…。
ちょっと無理矢理っぽく原田の内輪話をつけた感も。
でも,結局,
「元日の朝一番にお参りして,おもちの上に正月のお札を乗せ,正月三が日の間,百回拝めば願い事が叶う」…との女の願いは,
正月三日の戊辰戦争の開始と共に,薩・長の砲弾によって打ち砕かれてしまうという…
新選組の悲惨な末路を象徴するようなエピソードを盛り込みたかったのかも知れない。
(ごちゃごちゃ突っ込んでスミマセン,天国の結束先生)
終わりに近いところで原田左之助が,京で暮らす貧しい母子家庭の女(おぎん)に,
自分の所持する大金を渡すため(たったそれだけの用事で)会いに行く場面があるけれど,
なんで,京都にいる最後の日に行かなかったんだろ~ね(・・?…
血風録の原田のときは,産気づいた妻同様の女の身を心配のあまり出かけるという,
もっともらしい理由があったから,まだ良かったけれど…。
ちょっと無理矢理っぽく原田の内輪話をつけた感も。
でも,結局,
「元日の朝一番にお参りして,おもちの上に正月のお札を乗せ,正月三が日の間,百回拝めば願い事が叶う」…との女の願いは,
正月三日の戊辰戦争の開始と共に,薩・長の砲弾によって打ち砕かれてしまうという…
新選組の悲惨な末路を象徴するようなエピソードを盛り込みたかったのかも知れない。
(ごちゃごちゃ突っ込んでスミマセン,天国の結束先生)
でも…島田魁って鳥羽伏見の前に死んでないんじゃ…(?_?)…函館まで行ってない?…島田魁2号とか。
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No title
kitahachi様,いつも恋夜のブログらしからぬ栗ちゃま溺愛ブログを御覧下さいまして,ありがとうございます
このたびはコメントまで頂き,恋夜も大喜びです。
御覧下さる方の中には,コメントなんか書くのも面倒だし,いいや…と,躊躇されてしまう場合も多々あることなので(自分がそう(^^ゞ),
その点は,十分承知していますが,やっぱり,何か一言でも,
お声かけがあると,とても嬉しいのと同時に,すごく励まされます。
ご遠慮は全く入りませんので,今後とも,恋夜城をご愛顧下さいますよう,御願い致します。
またのコメントを楽しみにしております
栗ちゃま…「まるで子供のような男だ」(近藤さんのセリフにありましたね)
そして,やっぱり島田さんと左右田さんの存在感ある雰囲気が大好きです。
このたびはコメントまで頂き,恋夜も大喜びです。
御覧下さる方の中には,コメントなんか書くのも面倒だし,いいや…と,躊躇されてしまう場合も多々あることなので(自分がそう(^^ゞ),
その点は,十分承知していますが,やっぱり,何か一言でも,
お声かけがあると,とても嬉しいのと同時に,すごく励まされます。
ご遠慮は全く入りませんので,今後とも,恋夜城をご愛顧下さいますよう,御願い致します。
またのコメントを楽しみにしております
栗ちゃま…「まるで子供のような男だ」(近藤さんのセリフにありましたね)
そして,やっぱり島田さんと左右田さんの存在感ある雰囲気が大好きです。
No title
「今度生まれ変わるときは、おまえのような男に生まれ変わりたいよ」と総司に云った土方さん・・・。それから月日は流れ、子供のように天真爛漫な栗塚さんに生まれ変わったトシさんは、冷静沈着な島田さん、春風駘蕩な左右田さんとめぐり合いましたとさ・・??
はじめまして。いつも楽しくブログ拝見しています。
突然どうも失礼しました(^_^;)
はじめまして。いつも楽しくブログ拝見しています。
突然どうも失礼しました(^_^;)
No title
悲惨なお話のときは,朝から見ると一日中ブルーになるから,タイミングをずらしてます。
No title
同じ死ぬなら…同じ寝ているなら…総司のセリフに泣き笑いの恋夜です