第3話…昏い炎(『新選組血風録』)

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★モノクロ画像を少しだけカラー風に光源染色★
(第3話)
▼京都守護職の命により,新選組筆頭局長芹沢鴨,同じく局長・新見錦ら一派と共に,大阪城へ出張した近藤と土方。
大阪町奉行所と提携して,京・大阪に暗躍する倒幕浪士を一挙に制圧する相談であった。しかし,新選組の存在などは軽く見られ,打ち合わせは手早く済んだ。帰りがけ,芹沢らと遊興に繰り出すことになったが,往来で行く手を阻んだ酔っ払いの中年男を,芹沢は一刀のもとに斬り伏せてしまう。近藤と土方は,不意の出来事に驚くが,新見などは,無礼討ちだとほくそ笑み,意に介さず宴席に向かう。斬られた男は大工の棟梁だった。
早速仇を討たんと,大勢の大工の職人らが酒宴の店先に押し寄せてきたため,芹沢一派は返り討ちに出る。
大阪町奉行所と提携して,京・大阪に暗躍する倒幕浪士を一挙に制圧する相談であった。しかし,新選組の存在などは軽く見られ,打ち合わせは手早く済んだ。帰りがけ,芹沢らと遊興に繰り出すことになったが,往来で行く手を阻んだ酔っ払いの中年男を,芹沢は一刀のもとに斬り伏せてしまう。近藤と土方は,不意の出来事に驚くが,新見などは,無礼討ちだとほくそ笑み,意に介さず宴席に向かう。斬られた男は大工の棟梁だった。
早速仇を討たんと,大勢の大工の職人らが酒宴の店先に押し寄せてきたため,芹沢一派は返り討ちに出る。
土方と近藤は,じっと傍観しながら,芹沢一派の剣の実力を見ていた。
近藤らの護衛として,密かに大阪入りしたのは斎藤・長倉・井上の三名であったが,斬り捨てられた者の傷口を見た斎藤によれば,芹沢は,相当の剣の達人であり,下手をすれば近藤や土方も危ういものと見込む。
近藤らの護衛として,密かに大阪入りしたのは斎藤・長倉・井上の三名であったが,斬り捨てられた者の傷口を見た斎藤によれば,芹沢は,相当の剣の達人であり,下手をすれば近藤や土方も危ういものと見込む。
▼屯所に戻った土方と近藤に,沖田は,芹沢一派を始末する割り当てを考えたと無邪気に話す。
沖 田「野口,平間,平山には,長倉,藤堂,原田さんがぶつかり,
あと詰めとして,井上さんと山南さんが加勢すれば,
なんとかなるでしょ。
新見は相当な使い手だが,こちらは斎藤さんにやってもらう。
斎藤さんなら,新見にも負けないでしょう。悪くて,相討ち」
土 方「芹沢には誰が向かうのだ」
沖 田「仕方がないから,私が当たりますよ。
私がやられたら,土方さんがやって下さい,
二人が死ぬ気になったら,芹沢だって倒せますよ。
そうすれば,向こうは全滅,こっちはみんな死んでも,
近藤先生が残る,こっちの勝ちだ」
近 藤「総司,みんながいなくなってしまって私一人が残っても,
なんにもならんぞ,江戸から来たみんなと一緒に作る新選組だ」
沖 田「でも,このままじゃ,しょうがないでしょう?」
土 方「総司,まあ,待て,こういうことは,焦っては駄目だ。
打つ手は,打ってあるのだ」
あと詰めとして,井上さんと山南さんが加勢すれば,
なんとかなるでしょ。
新見は相当な使い手だが,こちらは斎藤さんにやってもらう。
斎藤さんなら,新見にも負けないでしょう。悪くて,相討ち」
土 方「芹沢には誰が向かうのだ」
沖 田「仕方がないから,私が当たりますよ。
私がやられたら,土方さんがやって下さい,
二人が死ぬ気になったら,芹沢だって倒せますよ。
そうすれば,向こうは全滅,こっちはみんな死んでも,
近藤先生が残る,こっちの勝ちだ」
近 藤「総司,みんながいなくなってしまって私一人が残っても,
なんにもならんぞ,江戸から来たみんなと一緒に作る新選組だ」
沖 田「でも,このままじゃ,しょうがないでしょう?」
土 方「総司,まあ,待て,こういうことは,焦っては駄目だ。
打つ手は,打ってあるのだ」
土方は,既に監察の山崎に,新見の金策先である商人のもとを探らせていた。やがて山崎は,商人から,新見による金銭強奪の動かぬ手口と証言を得た。新見が屯所へひとり帰らぬ晩,土方は,その泊まり先を訪れる。
土 方「新見先生…いや,新見君。君は,局中法度に反した。
新選組の名を勝手に使って,商人から金銭を強奪した,
その証拠は,監察部によって既にあがっている。
士道,最も不覚悟と言わねばならん」
新選組の名を勝手に使って,商人から金銭を強奪した,
その証拠は,監察部によって既にあがっている。
士道,最も不覚悟と言わねばならん」
当初,激怒していた新見だが,居直ったように見せかけながら抜刀したため,その場で土方に叩ッ斬られ,粛清された。
▼芹沢は,この処断に激怒したが,局中法度の前では,局長と平隊士の区別などないことを,近藤及び土方から諭される。新見を失った芹沢一派と,近藤一派の力関係は,このときを以て形勢が一変した。芹沢らは,土方を暗殺しようと画策する。人を金で雇い,往来で襲わせようとするが,ことごとく土方に斬られ,失敗する。
▼その後,芹沢一派は,金策のため,大和屋という商家を訪れる。
かつて大和屋が,新選組に五百両を寄贈する約束をしていながら,いまだに金が提供されていないのはどうしたものかと聞く芹沢。大和屋の主人は,おもむろにその場へ妻のオハマを呼ぶ。オハマは,大阪で芹沢が斬った大工の棟梁の妹だった。彼女にとって,芹沢と新選組は恨めしい存在でしかない。芹沢とは別に,土方も大和屋を訪れ,主人に謝罪する。
かつて大和屋が,新選組に五百両を寄贈する約束をしていながら,いまだに金が提供されていないのはどうしたものかと聞く芹沢。大和屋の主人は,おもむろにその場へ妻のオハマを呼ぶ。オハマは,大阪で芹沢が斬った大工の棟梁の妹だった。彼女にとって,芹沢と新選組は恨めしい存在でしかない。芹沢とは別に,土方も大和屋を訪れ,主人に謝罪する。
▼金策の当てが外れた芹沢らは,逆恨みし,兄の法要のため,伏見の船宿に出かけていたオハマのもとへ出向き,暴行(また無理やりテゴメ)。
芹沢らの様子に不審を感じた土方は,早急に駆けつけたが,既に芹沢らは去り,辱めを受けたオハマは自害しようとしていた。土方はこれを止めるが,半狂乱のオハマから「腰の刀は,お飾りドスか?」と罵られる。
芹沢らの様子に不審を感じた土方は,早急に駆けつけたが,既に芹沢らは去り,辱めを受けたオハマは自害しようとしていた。土方はこれを止めるが,半狂乱のオハマから「腰の刀は,お飾りドスか?」と罵られる。
▼芹沢の騒動が新選組の評判を失墜させていることは,既に会津中将も把握しており,土方と近藤は,会津藩本陣に呼び出され,所司代役人から暗に芹沢らの暗殺を,ほのめかされる。遂に腹をくくった近藤と土方。
▼豪雨の深夜(屯所)。
芹沢がひとり寝ている。寝込みを襲いにかかったのは,近藤,土方,沖田,井上の四名。雷鳴轟く中,芹沢の粛清(暗殺)は決行された。
芹沢がひとり寝ている。寝込みを襲いにかかったのは,近藤,土方,沖田,井上の四名。雷鳴轟く中,芹沢の粛清(暗殺)は決行された。
▼後日,会津藩本陣に出向いた土方。所司代も芹沢らの粛清に暗黙の了解を示す。役人の見送りを受ける土方の前に,狂人と化したオハマがふらりと現れ,土方を見つけると,意気地がないだの弱虫だのと激しく笑い,罵りはじめた。役人らはオハマを取り押さえようとしたが,土方は,知っている女だと言って止め,オハマに言わせるだけ言わせ,そのうち身内の者が駆けつけきて,連れて行かれる彼女の哀れな様子を,痛々しく見つめるばかりだった。
オハマさん…お歯黒で眉が薄く,真っ黒な口を開けて騒ぐから,余計,不気味ちゃん…(^^ゞ。
▼最後に土方のナレーション。
土 方「芹沢派との昏い闘いは終わった。
新選組は,その第一歩を踏み出したのである。
局中法度はその力を発揮し始めた。鉄の規律と信念を以て,
新選組は次第に京洛の巷に,その存在を認められていった。
凄まじい倒幕・佐幕の時代の闘いが,これから始まる。
新選組はその先陣をきるために立ち上がる。
だが,その新選組は,数え切れぬ人々の,
痛ましい犠牲の上に作られたのだ。
その新選組を,俺は動かそうとしている。
それが俺の悔いのない生き方と信じているからだ。
理屈はいらない。
この剣が飾り物かどうか,
俺がこの命を燃え切らした時,決まる」
土 方「芹沢派との昏い闘いは終わった。
新選組は,その第一歩を踏み出したのである。
局中法度はその力を発揮し始めた。鉄の規律と信念を以て,
新選組は次第に京洛の巷に,その存在を認められていった。
凄まじい倒幕・佐幕の時代の闘いが,これから始まる。
新選組はその先陣をきるために立ち上がる。
だが,その新選組は,数え切れぬ人々の,
痛ましい犠牲の上に作られたのだ。
その新選組を,俺は動かそうとしている。
それが俺の悔いのない生き方と信じているからだ。
理屈はいらない。
この剣が飾り物かどうか,
俺がこの命を燃え切らした時,決まる」
(了)
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No title
たまたま歴史に詳しいヒトのブログを拝見したら,
このときの暗殺について,「卑怯」という表現をしてました。
恋夜としては,そんなに歴史に詳しいわけでもないので,
なんとなく,劣等意識を感じたのと(ちっちぇえ),
妙にドラマかぶれしているところにも馴染めなかった…(-_-;)。
俳優の年齢と史実の人物の年齢まで云々してたり…第一,今の20代の見た目の軟弱さが,幕末時代の20代で通用するかって~の!
自分も作品を追いかけてはいるけど,栗ちゃまがメインで追いかけているだけ。
歴史的観点から見て…なんてことを,したり顔で解説したくないし,そのつももないんだけど,
もし,そう見えちゃったとしたら…なんてことを,ふと思ってしまった。
自分の勉強になることだと思って書き記している感じ…大好きな栗ちゃまの作品だから書き記している。
歴史講座みたいな目で,血風録は見たくない。
ドラマは,あくまでドラマだもんね。
歴史の資料眺めて,あくまで参考にするのはいいとしても,
ドラマの筋と史実の比較をするなんざ,
恋夜にとっては愚の骨頂で,ヤボだと思った。
このときの暗殺について,「卑怯」という表現をしてました。
恋夜としては,そんなに歴史に詳しいわけでもないので,
なんとなく,劣等意識を感じたのと(ちっちぇえ),
妙にドラマかぶれしているところにも馴染めなかった…(-_-;)。
俳優の年齢と史実の人物の年齢まで云々してたり…第一,今の20代の見た目の軟弱さが,幕末時代の20代で通用するかって~の!
自分も作品を追いかけてはいるけど,栗ちゃまがメインで追いかけているだけ。
歴史的観点から見て…なんてことを,したり顔で解説したくないし,そのつももないんだけど,
もし,そう見えちゃったとしたら…なんてことを,ふと思ってしまった。
自分の勉強になることだと思って書き記している感じ…大好きな栗ちゃまの作品だから書き記している。
歴史講座みたいな目で,血風録は見たくない。
ドラマは,あくまでドラマだもんね。
歴史の資料眺めて,あくまで参考にするのはいいとしても,
ドラマの筋と史実の比較をするなんざ,
恋夜にとっては愚の骨頂で,ヤボだと思った。
No title
karutamago様の仰るとおり,血風録の凄いところは,まずリアルさ!! お羽黒…眉ソリ…でも,おはまさん,恋夜的には,
なんとなくコワ可愛いヒトだと思いました(^^ゞ…。
恋夜の地元では,よく気がふれちゃった女のヒトのことを
「オキッチャン」って言うんですが,まさにその演技は凄かったですね。栗ちゃまビビったに違いありません。
栗ちゃまのロマンチック系のお顔もホッとして好きなんですが,
やっぱり一番好きなのは,鬼のように鋭いお顔。
この作品,本当に,絵が凄いです!!
役者さんたちが皆素敵だし,撮影しがいがあったと思います。
特殊メイクもさることながら,
白黒なのに,血しぶきが妙にリアルで,一瞬,赤く飛んだようにさえ思えるほど…タイミングも絶妙で,いつも唸っちゃう。
栗ちゃまに関してなんですが,前回のときあたりから,
頬にぷっくり大きな吹き出物が出ていて,思わず取りたくなってしまいました…(^^ゞ後方から見たときの,スベっこい餃子の形の耳が好き。
なんとなくコワ可愛いヒトだと思いました(^^ゞ…。
恋夜の地元では,よく気がふれちゃった女のヒトのことを
「オキッチャン」って言うんですが,まさにその演技は凄かったですね。栗ちゃまビビったに違いありません。
栗ちゃまのロマンチック系のお顔もホッとして好きなんですが,
やっぱり一番好きなのは,鬼のように鋭いお顔。
この作品,本当に,絵が凄いです!!
役者さんたちが皆素敵だし,撮影しがいがあったと思います。
特殊メイクもさることながら,
白黒なのに,血しぶきが妙にリアルで,一瞬,赤く飛んだようにさえ思えるほど…タイミングも絶妙で,いつも唸っちゃう。
栗ちゃまに関してなんですが,前回のときあたりから,
頬にぷっくり大きな吹き出物が出ていて,思わず取りたくなってしまいました…(^^ゞ後方から見たときの,スベっこい餃子の形の耳が好き。
No title
こちらにも失礼します~。
江戸時代の人は結婚するとお歯黒と眉を剃り落とすということなんですが、
現代の時代劇でそれをやっているのはほとんどないので、
このおはまさんを見たときはある種「プロ集団~!」と感激しました~。
おっかないですけどね、ぱっと見。特にモノクロだからか…。
このおはまさんの演技がすごくって、大変恐縮ながら栗塚さんが
霞んじゃったような気すらしてしまいました…すみません。
今回一番怖い顔をしていたのは島田さんの総司さんみたいな気もするし…
芹沢鴨の絶命のシーンのメイクとかも、すごいですしね。
こっちのほうが日本怪談劇場といってもおかしくないくらいです。
今回なんかほかの人が迫力すぎてしまって…(汗)
でも栗塚さんは横顔と斜め45度が見られたから、いいんです…ムフフ
江戸時代の人は結婚するとお歯黒と眉を剃り落とすということなんですが、
現代の時代劇でそれをやっているのはほとんどないので、
このおはまさんを見たときはある種「プロ集団~!」と感激しました~。
おっかないですけどね、ぱっと見。特にモノクロだからか…。
このおはまさんの演技がすごくって、大変恐縮ながら栗塚さんが
霞んじゃったような気すらしてしまいました…すみません。
今回一番怖い顔をしていたのは島田さんの総司さんみたいな気もするし…
芹沢鴨の絶命のシーンのメイクとかも、すごいですしね。
こっちのほうが日本怪談劇場といってもおかしくないくらいです。
今回なんかほかの人が迫力すぎてしまって…(汗)
でも栗塚さんは横顔と斜め45度が見られたから、いいんです…ムフフ