風…第30話「頼まれた略奪」
第30話…頼まれた略奪
※残り10話ともなると,予算が少なくなってきたのか,
メインの登場人物が少ないし,
スジも複雑そうに見えるけど流れは単純。
左近さんも今回は全然出てこなかったから,なにか物足りない感じ。
老中水野の登場も少なくて,今回なんか「手しか出てこない」し(^.^),
レギュラーの福内鬼外も早苗さんも,全然出てこなくなっちゃった。
それ以外の周りの要素が手薄な感じ。
(アラスジ)
加賀藩の前田家では観音像の置物を将軍へ献上することになっていた。
銭屋五兵衛が唐天竺(カラテンジク※中国とインド=遠方)から仕入れた観音像の中には,加賀百万石の土台を揺るがす密貿易の証拠を記した文書が極秘に忍ばせてあった。その秘密を知るのは,加賀藩主より密貿易の許しを得ていた銭屋とその娘・小夜のほか,銭屋が密貿易取引の罪で捕まった際,取調べを担当した当時の目付役・仙波蔵人のみだった。
仙波は,その秘密を盾に藩主を脅すことで,加賀藩を意のままに操れると目論んでいた。金沢城より観音像献上の一行が江戸へ向かうことになり,その大名行列の道中奉行は仙波蔵人だった。
(流れ)
新十郎は,旅の途中,小夜に言い寄る連れの番頭・勘平の不埒な行動を止めに入る。鎖の武器を操る勘平に,みだれ八相の構えで対峙する新十郎。それを見た小夜と勘平は,途端に新十郎の前にひざまずき,
色恋沙汰は新十郎を呼び寄せるための芝居だったと謝る。
「風の新十郎」と見込んで,人をさらって貰いたいという。
公家の出身で金沢城の奥座敷に務める綾子が前田家の殿様に見染められ,不本意ながら側室として江戸へ送られることになったが,
それを逃がして欲しいとのこと。
金沢城からの大名行列一行は,中山道の熊谷宿に本陣を置き,
綾子を乗せた駕籠が到着していた。
城勤めをしていた時,綾子に世話になったという小夜と勘平は,
いくら加賀百万石といえども,不祥事を公にはできないはずだという。
頼みを聞いた新十郎は,その晩,火事を装い,綾子の寝所へ侵入する。
綾子を連れ出そうとした新十郎だが,彼女に脱出する意思など毛頭なく,鉄砲を持った家来を呼び寄せ,新十郎は捕まってしまう。
その隙に,観音像が盗まれた。
新十郎をまんまと騙した小夜と勘平は居酒屋にいた。
少し気が咎めると言う小夜とは対照的に,喜ぶ勘平は,
そこへ来た旅姿のかがりと酒を酌み交わす。
勘平が御機嫌になった隙に,かがりは観音像を入れた袋を奪い取る。
捕まった新十郎は,その晩,本陣一室の籐丸駕籠(トオマルカゴ※江戸時代の犯罪人が乗る道中駕籠=籐:英名ラタン。ツル科植物の籐で作った丸い駕籠) の中にいた。
見張りの侍がひとりいたが,そこへ綾子が来て,扇子を落とした拍子に侍の首をド突いて気絶させる。綾子は,前田家が将軍に献上する観音像を盗まれた責任を問われれば自分の命はないという。観音像を取り戻すことを約束すれば,逃がしてやるとのこと。これを了解した新十郎を綾子は駕籠から逃がした。
翌朝,新十郎が逃げたあと,その場に綾子の扇子が落ちているのを見つけた仙波は,綾子が新十郎を逃がしたことを知る見張り役の侍を即座に刺殺した。仙波は,かえでという腰元に,綾子を見張るよう指示する。
道中で小夜と勘平を見つけた新十郎は,そこで小夜の素性を聞く。
小夜はかつて廻船問屋を営んでいた銭屋五平の三女だった。
藩の財政難を救うため,前田家から目を付けられた銭屋五兵衛は,
藩主の許しを得て抜け荷の品の密貿易をしていたが,
それが公儀に知られそうになった途端,前田家は銭屋ひとりに罪を押しつけ,財産を取り上げた揚句,牢送りにしたのだという。もともと銭屋が手に入れ,宝として大事にしていた観音像を奪い取った前田家は,
それを将軍家に献上して御機嫌を取ろうとしているのだと,
小夜は嘆く。
観音像をくのいちに盗まれたことを聞いた新十郎は,
かがりではないかと推察する。
半月前,老中水野のもとに差出人の名前のない訴状が届いた。
訴状には,
「此度,前田家から献上される佛像の胎内には,
前田家の密貿易の事実を証したてる書き付けが封じこめてある。
佛像を砕いてそれをあばき,前田家に鉄槌を下して頂きたい」
と記されていた。
加賀藩の不祥事は,
まかり間違えば幕府に関わる大事件になりかねない。
水野は世の平和のため,観音像の中身から書き付けを取り出した後,
前田家から献上するよう段取りを決めた。
水野の密命を受け,加賀藩一行の護衛に付いたかがりは,
盗まれた観音像を無事,取り返したが,
細工がわからず,中身を開けることができなかった。
かがりは馬を飛ばして街道を行く。
道中で,新十郎達は仙波の率いる加賀藩の侍達に囲まれ,
観音像を渡すよう要求される。
持っていないと言う新十郎に侍達が一斉に斬りかかる。
と,そこへかがりが助けに入る。
新十郎はその晩,
必ず観音像を届けると綾子に伝えるよう侍へ申し渡す。
加賀藩の一行は,浦和宿に本陣を構えた。
そこへ戻った家来の侍は,観音像をその日のうちに届けると新十郎が約束したことを仙波に告げる。観音像が戻らなけらば,全員,腹を斬らねばならぬ…と,仙波は語気を荒らげる。
その後,仙波は綾子の部屋へ行き,綾子の扇子を懐から差し出し,
新十郎を逃がしたのは綾子だろうと指摘する。
観音像を取り戻したい一心でしたことだと綾子は言う。
仙波は綾子に「必ず今夜中に佛像を届ける」
との新十郎の言伝を告げる。
浦和宿に到着した新十郎は,小夜達と居酒屋へ入り,
店の前に「風」の張り紙をし,のんびりと勘平に酒を勧めていた。
小夜は,観音像を取り戻したらどうするのかと新十郎に聞く。
新十郎としても,どうするかはまだ決めていないという。
人を恨んで復讐することが怖くなったと言う小夜。
そこへ,表の張り紙を見た虚無僧姿のかがりが入って来る。
素早く観音像の入った包みを奪う新十郎だが,一戦交えてでも観音像を取り戻そうと懸命なかがりの様子から,何か重大な秘密があるに違いないと察し,奪った観音像を返すことにした。
新十郎 「たった五,六寸の佛像に命まで懸けることはねえ。
お前と本当にやるんだったら斬り合いより,
かがりは新十郎に礼を言って去る。
新十郎は,小夜に,まだ何か隠しているのではないかと尋ねる。
ギクリとし,突然,涙ながらに謝る小夜は,
観音像には加賀百万石の根幹を揺るがす秘密が仕込まれていることを
新十郎に打ち明ける。
かがりは,綾子のいる浦和宿の本陣へ行き,持ち返った観音像を綾子へ渡す。予てより観音像が仙波に渡っては一大事だと綾子に伝えていたかがりは,江戸まであと一晩の辛抱だと言って励ます。その話を隣室で聞いていたかえでを捕まえたかがりは,風の新十郎が佛像を返しに来たことを仙波に伝えるよう言いつける。
観音像の中には,前田公が密貿易を黙認する意向を記した文書が隠されていることを新十郎に説明する小夜。
そのことを死んだ母親から聞いたという。
加賀藩の密貿易を担っていた小夜の父・銭屋五兵衛は,御禁制の品を扱った罪で牢獄へ送られており,小夜は,父ひとりが罪を背負ったことを恨みに思うあまり,藩の秘密文書の件を,事前に老中水野に知らせておいたところ,金沢城の一行が江戸へ向かうに至っても,何ら表立って水野の動きがなかったことから,小夜は自ら観音像を手に入れて,秘密を暴露しようと決意し,新十郎をダシに使ったのだという。その秘密を知っている者は小夜と銭屋のみだったが,当時目付役をしていた仙波が銭屋を拷問し,それを知った可能性もあるという。
綾子はの部屋に来た仙波は,戻った観音像を確認するとともに,
自分が預かると唐突に言い出す。
かつて銭屋五平を取調べた際,密貿易の秘密を知った仙波は,
観音像を盾に藩主を意のままに動かせると綾子の前で豪語し,
彼女を藩主の側室ではなく我がものにする考えもあると,
有無を言わせぬ態度で迫ってきた。
仙波の手を払いのけ,毅然と対応する綾子は,
仙波の悪意の証拠を掴んだことを確信する。
綾子は,加賀藩主・前田斉康(ナリヤス)と公家の間の隠し子だった。
前田斉康は,かねてより国元で仙波の良からぬ噂を聞き,事の真偽を調べるため,綾子を作法指南として金沢城へ潜入させていた。
窮した仙波は綾子に刀を向けて殺しにかかるが,かがりが助けに入る。
そこへ来た侍達に綾子を討つよう命じる仙波は,事は全て風の新十郎のせいになると言って笑う。
「おっと待った!」…と,天井から新十郎が現れる。
濡れ衣は御免こうむると言う新十郎に斬りかかった仙波は,あっという間に斬られてオダブツ。家来たちは綾子の命令を聞き,全員静まった。
加賀百万石を守るため,小夜の父ひとりに罪を被せたことを前田斉康も苦しんでいたという。事実を話した綾子は,観音像を小夜に渡す。
それをじっと見つめる小夜。
新十郎 「小夜さん,世の中には大勢の人間のために,
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No title
ろくりん様,銭屋五兵衛さんは,金沢では有名な豪商だったのですね。栗ちゃま新十郎のセリフの語気から,
かなり有名なのかな…と思ったら,やっぱり実在した人物だったのですね。
加賀百万石は,デパートの物産展でも有名で,今でも富んでるイメージがありますね。
それに比べて,「甲府百万石」は影も形もないです…(^_^;)。
かなり有名なのかな…と思ったら,やっぱり実在した人物だったのですね。
加賀百万石は,デパートの物産展でも有名で,今でも富んでるイメージがありますね。
それに比べて,「甲府百万石」は影も形もないです…(^_^;)。
No title
今回はなぜか左近さんでなく懐かしい砂塚秀男が出てあれ?と思いましたね。で今回は私の住む石川県とはかなりつながりのある話、加賀藩やら金沢城やら前田の殿様やら。で銭屋五兵衛は実在の豪商で加賀藩も人目おく、貿易で大成功した商人だそう、しかし金沢近郊の干拓事業の失敗から加賀藩から責任とらされ自害したと。一説には加賀前田家が干拓地に毒物流し魚が大量死して干拓失敗とさせた謀略という説も。金沢には銭屋記念館という施設まである郷土の偉人であります
No title
しかも…,行間,目いっぱい詰めないと最後までアップできないし,
途中で消えちゃうという厄介さ。
wikiモードで入力すると文字がちっこくて読むのもイヤになるから,
使いにくくてもまだ簡単モードのほうがまし。
新十郎は,やっぱり用心棒モード入ってきてる…と思う。
眉間のシワの寄せ方とか,歩き方とか,声のトーンが低くなってきたとか…で,最初の頃の新十郎とは明らかに違う感じ。
途中で消えちゃうという厄介さ。
wikiモードで入力すると文字がちっこくて読むのもイヤになるから,
使いにくくてもまだ簡単モードのほうがまし。
新十郎は,やっぱり用心棒モード入ってきてる…と思う。
眉間のシワの寄せ方とか,歩き方とか,声のトーンが低くなってきたとか…で,最初の頃の新十郎とは明らかに違う感じ。
No title
この話は1回見ただけの記憶で流して書けると思ったけど,
意外と見落としてるところや記憶違いがあったりするし,
まとめた記事をあとで見直したりすると,
正確じゃないところもあるから,直すとつい長くなっちゃう。
意外と見落としてるところや記憶違いがあったりするし,
まとめた記事をあとで見直したりすると,
正確じゃないところもあるから,直すとつい長くなっちゃう。