風…第34話「白州の鬼」
第34話…白州の鬼
(あらすじ)
商屋の御金蔵に預けてある幕府の御用金が,
立て続けに盗まれた。
この件について,左近から協力を頼まれた新十郎は,
奉行所に内通者がいると睨む。
(流れ)
御用金が盗まれた際,いずれも周囲の警護にあたっていたのは,
北町奉行所の与力・早瀬源之助 。
内通者の疑いがかかる早瀬は自害しようとするが,
同僚で友人の進藤平八に止められる。
早速この騒動が盗賊一味に内通され,
その晩,遠州屋の御用金を奪う予定が中止となる。
警備を外された早瀬は奉行所内に留まり,
その他の者で遠州屋の周囲を見張ることになったが,
盗賊達が現れる気配はない。
新十郎は,かがりにその様子を見に行かせたあと,
警備の者達を眠り薬で眠らせた間,
かがりと一緒に遠州屋から御用金を盗み出す。
北町奉行の立脇将監は,一連の御用金窃盗事件の責任を感じ,
前任者の高山典膳に,江戸の治安を護る職務の重圧を打ち明ける。
高山は,弱気になる立脇に,「鬼になれ」と言って励ます。
その会話の途中,遠州屋から盗まれた御用金が,
またもとの蔵に返されたとの知らせが入る。
この一件は,当然,盗賊一味の耳に入り,
「風の新十郎」の仕業であることが知れ渡る。
すると盗賊達は手口を変え,婚姻前の花嫁を次々と奪い去ることで,
江戸の治安を乱し始める。
内通者の嫌疑のかかる早瀬には婚約者の信乃(シノ)がいた。
信乃は北町奉行立脇の娘である。
これに目を付けた新十郎は,
北町奉行所へ潜入して立脇と面談した際,
信乃をおとりにするよう申し出る。
一時,早瀬とは逢わないよう信乃に言いきかせていた立脇だが,
事件解決のため,
志乃と早瀬の婚礼の日取りを急遽決めることにした。
しかし,婚礼の日,信乃が乗った道中駕籠は襲われなかった。
護衛をしていた左近は,不謹慎とはいえ,
いっそ襲われたほうが早瀬の疑いは解けたろうに…と落胆する。
早瀬は,即刻,牢屋にブチ込まれた。
信乃は独り,部屋で泣き崩れていたが,
「広瀬を売った男は新十郎」との書きつけを見つけ,
新十郎のもとへ出向く。
名を呼んで確認した信乃は,
いきなり短刀を振るって新十郎に襲いかかる。
咄嗟に避けて叩き,信乃を気絶させた新十郎は,
ちょうどそこへ来たかがりにあとを任せ,
物陰から立ち去る編笠の男を追いかける。
かがりは,新十郎を誤解する信乃に対し,
早瀬を信じるように,新十郎を信じて欲しいと頼み,
奉行と結託して早瀬を牢屋に入れたのは新十郎だが,
そこで早瀬が監禁されている以上,
やがてジレて動き出す悪党達とは無関係であるという証になると
説得する。信乃もその言葉を信じることにした。
ところが,早瀬のいる牢は,あっけなく破られ,
「信乃に頼まれた」という盗賊一味の女に,
早瀬は連れて行かれてしまった。
と,同時に,その場にいた盗賊の男がひとり捕縛される。
しかし,男は進藤の拷問による取り調べの途中,絶命。
進藤は,折角の証人を死なせてしまったことを奉行の立脇に詫びる。
その際,奉行の立脇としても,流石に一連の事件の責任を回避するわけにはいかないと,
老中水野宛てに記した「辞職上申書」を,進藤平八に見せる。
これまで,事あるごとに友人の早瀬をかばってきた進藤は,
奉行の辞職願いの意向にも反対する。
庭木の手入れをする高山典膳のもとに,「奉行所の内通者」が,
早速,立脇の辞職の意向を伝えに来た。
もと北町奉行だった高山典膳は,病気でやむなく職を退き,
後任者として立脇を推挙したが,
立脇の良い評判を聞くにつれ,妬ましくなり,隠居の身からもう一度,奉行の職へ返り咲こうと画策していた。
同じく,立脇の娘と婚姻する早瀬が,やがて自分より上の身分になることが妬ましいと話す侍の男が高山の庭先にいた。
顔を上げたのは進藤平八。
北町奉行所の内通者は進藤だった。
この話を,近くの池の中に潜っていたかがりが聞きつける。
やがてまた,婚礼の行列駕籠が往来を出発する。
花嫁に化けたのはかがり。
新十郎と左近は,その駕籠を盗賊一味にわざと襲わせ,
連れていかれたかがりのあとををつけ,
盗賊達の居所をつきとめる。
新十郎と左近は,外にいた一味の女の構える短銃を叩き落し,
捕まえて侵入する。
するとそこには進藤がいて,縄に縛られた早瀬やかがり,その他,
奪われた花嫁達が監禁されていた。
捕まえた女を盾に短銃を進藤に向ける新十郎。
すると進藤は,早瀬の喉もとに刀を突き付け,
銃を捨てるよう要求する。
新十郎は,言われたとおり,短銃を進藤の前に放り投げる。
それを拾おうとした進藤めがけ,咄嗟に女を押し出した新十郎は,
素早くかがりの縄を解き,
その場にいた盗賊達と斬った張ったの勢いで外に出る。
進藤は早瀬を殺しにかかるが,
死闘の末,早瀬の刀が進藤の背を突き刺した。
一件落着して奉行所に戻った左近は,
御用帳に新十郎やかがりに加え,自らの功績を記したものの,
自画自賛はイカンと思い直して記述を塗り潰す。
信乃の婚礼の駕籠が早瀬のもとに向かう。
傍で見送る新十郎とかかがりの姿があった。
羨ましそうに見送るかがりが,新十郎に話しかける…tと,
新十郎は,いつもようにスタコラサッサと歩き去り,
後ろ姿が見えるだけ。
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