風…第37話「若様飛び出す」
第37話…若様飛び出す
だけど,もう,この段階で,「風の新十郎」(栗ちゃま)の存在価値を薄くしていくような気配が感じられる…。
(あらすじ) ※単純にまとめ。
遊び好きな旗本の次男坊・刈谷源次郎は,
ある日,兄から勘当される。
その直後,将軍の妹にあたる照姫の婚約相手として,
源次郎に白羽の矢が当たる。
見合いの日取りは明後日,刈谷家に照姫が訪れることになった。
焦った刈谷家では,家を飛び出した源次郎の行方を探し始め,
町方の左近も捜索を頼まれた。
その頃,源次郎は,兄から頂戴した手切金を博打に使って大当たり。
傍でその様子を見ていた浪人は,源次郎が賭場を出たあとを付け,
恰も金目当てと見せかけつつ,その命を狙う。
この浪人は,前老中・土屋利位の家来が手配した刺客であった。
土屋利位は,現老中水野が自分を失脚させたあと幕政を牛耳り,
将軍の妹を土屋家の分家である刈谷家の源次郎に嫁がせようとすることに不満を抱いていた。
照姫との婚姻の日取りに源次郎がいなければ,
刈谷家は御家断絶となる。
土屋利位はゆくゆく本家の息子に照姫を嫁がせるため,
源次郎の暗殺を家来に命令する。
(流れ)
刺客に襲われた源次郎を偶然助けた新十郎(渡世人姿)は,
その後,左近から,刈谷家の「若様」捜索に協力してくれと頼まれる。
当人の右腕には,アザがあるという。
探し当てた時の礼金はドッサリ…というので,
左近の目的は,ほぼ金目当てに等しい様子。
新十郎と山分けしてもいいから…と,そんな話をしていた折,
先ほど浪人に襲われたあとで,
新十郎の居所を教えて貰った源次郎が,長屋を訪ねて来る。
その上品な顔立ちをマジマジと見た左近は,
腕を見せろとにじり寄る。
と,そこへ来たかがりに,源次郎はすぐさま興味を示し,
左近から逃れ,調子良く,その場を退散する。
源次郎のあとを追いかけたかがりは,
徹夜で博打して眠くなった源次郎から膝枕をしてくれと頼まれたため,仕方なく寝かせはしたが,腕にアザがあるかどうか確認しようとする。
と,そこへまた,土屋家の刺客達が源次郎の命を狙って襲って来る。
新十郎は,,物陰からその乱闘現場の様子を窺う。
かがりは刺客達の前に煙弾を投げて煙に巻き,
源次郎と共に逃げた。
江戸城には照姫がいた。
照姫と顔馴染みのかがりは,婚姻相手の源次郎(らしき人物)を
確認してきたことを報告する。
「イカす男だが,女の子に手が早い」と聞いた照姫は,
婚姻前に後悔したくないと言い,
源次郎がどんな男か直に確認しようと,
かがりと共に密かに街へ向かった。
源次郎と居酒屋で出くわした新十郎は,
刺客の男達をつけたところ,
今は隠居の身となった前の老中・土屋利位の屋敷の者であったことをと,それとなく源次郎に伝える。
本家の仕業だと察した源次郎は,一瞬,表情を強張らせるが,
新十郎に礼を言い,居酒屋を出て行こうとする。
が,新十郎は,今晩,濱町河岸の船宿「水月」で賭場が開かれるが,
刺客の浪人は,源次郎を探して,その場に現われるだろうと予告する。
源次郎は,礼を言って居酒屋をあとにする。
かがりは照姫を連れて新十郎の長屋へ行ったが,留守だった。
中に張り紙があり,今晩,船宿の水月で開かれる賭場に,
目当ての若様が現れるだろうとの予告が記してあった。
その博打場に照姫を連れて行ったかがりは,
そこにいた源次郎に,「家出をして来た町娘」と称し,
照姫のことを紹介する。
「可愛い女の子には目が無い」という,お調子者の源次郎に,
少しムッとする照姫。
博打のことなど何も知らない照姫だが,かがりから遊び方を教わり,
金を出して貰い,興味津津でサイコロ勝負に打って出る。
源次郎は照姫にアドバイスするが,賭けた目で照姫に負け続ける。
大当たりに喜ぶ照姫だったが,やがて賭場に手入れが入り,
源次郎は照姫と一緒に川へ飛び込み,近くの空き家へ逃げ伸びた。
気絶した照姫の濡れた着物を,夜通し火で乾かしていた源次郎は,
やがて目を覚ました照姫から,少しばかり生い立ちを聞く。
照姫は,あらゆる女に手を付けた自分の父親を嫌っていた。
一方,親を亡くした源次郎は,
兄と二人きりの兄弟しか身内はいない。
照姫は父親の五十三番目の子だという。
それを聞いた源次郎は,
まるで先代の将軍様みたいだと目を丸くする。
「昨日,初めて家から町に出た」と源次郎に打ち明けた照姫は,
初めて自分の言葉で話し,自由に遊べて楽しかったと目を輝かせる。
照姫を愛おしくなった源次郎は,彼女に許可を得てから抱きしめる。
女慣れしているような源次郎だが,
女を抱いたのは,それが初めてだと正直に話す。
しかし,その抱擁も束の間,
空き家の外へ刺客達が来る気配を感じた源次郎は,
照姫を中へ残し,刀を抜いて応戦する。
と,そこへ新十郎が加勢に入り,刺客のひとりを生け捕りにする。
源次郎が,空き家へ戻ると,そこに照姫の姿はなかった。
「騒動から逃れるため,かがりが連れて行った」と伝えた新十郎は、
また彼女に逢えるだろうと源次郎に告げる。
新十郎は,捉えた刺客に縄を巻き,
土屋の寝所の隣の間へ転がした。
男の懐に忍ばせた水野老中の「以後,刈屋藩へは手出し無用」
との達し書きを見た土屋は,悪事が露呈したと察し,
間もなく切腹した。
刈谷家に戻った源次郎は,風来坊を装っていたことを家来に詫びる。
本家の動きを探るため,兄と示し合わせたうえで,
今まで,おとりとして動いていた。
源次郎は,戻って早々,見合いの話を聞く。
相手は現将軍の妹で,先代将軍の五十三番目の子だとのこと。
源次郎には,昨晩の娘だと察しがついた。
身支度を整えた源次郎は,照姫との見合いの席にいた。
照姫は,早速「可愛い女の子には目がない」と言った源次郎の言葉を
引き合いに出し,「これ以後,なりませぬ」と,笑顔で念を押した。
源次郎も,これには二つ返事で嬉しそうに答える。
照姫の尻に敷かれそうな源次郎の未来を予想するかがりは,
傍にいた新十郎に,「ニョウボにアタイはどう?」と尋ねる。
新十郎は,困ったとばかりに,河原を逃げ回る。
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No title
大物俳優の田村正和さんを「マサカズちゃん」と呼べるほど,同じく大物俳優の栗ちゃま。
やっぱりアニキの貫録アリアリで,ニヤニヤしてたっけ。
イイ男がバーンと画面に並ぶと,何処を見て良いやら…。
やっぱりアニキの貫録アリアリで,ニヤニヤしてたっけ。
イイ男がバーンと画面に並ぶと,何処を見て良いやら…。